昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

原節子さんが車のセールスマン(ウーマン?)として奮闘!"昭和の働く女性"映画②「東京の女性」

 

第二弾は自動車のセールスマン(ウーマン?)!

 

女性弁護士を取り上げた第一弾に続く

働く"昭和の女性"第2弾は何とあの原節子さんが

自動車のセールスマン(ウーマン)?として

奮闘する「東京の女性」(1939年、伏水修監督)

という映画を紹介します!

 

 

おおまかなストーリー

 

自動車会社でタイピストとして働く

君塚節子(原節子)は家庭の事情で

自動車のセールスマンにしてほしいと

同じ会社で知り合いでセールスマンの

木幡に相談を持ち掛ける

 

最初はセールスマンの大変さを説く

木幡だったが節子のあまりの熱意に折れ

セールスマンとして指導することにする

 

節子は整備の仕事で真っ黒に油にまみれ

溶接の工場を見学したりして

自動車の知識を一生懸命吸収し

毎日帰りが遅くなる程熱心に取り組んだ

 

晴れてセールスマンとして働き始めるも

思わぬ困難が待ち受けていた

女性だからと色仕掛けで売っているなどと

言われたり、木幡と恋仲を疑われたりと

女性であることを理由とした

偏見の目や奇異な目で見られたりした

 

果たして節子はセールスマンとして

成功することはできるのだろうか?

 

 

映画の感想

原節子さんが戦前としては先進的な役柄にピッタリ!

 

原節子さんというと小津映画での慎ましい

古き良き美しい日本女性という

イメージが強いかと思いますが

日本人離れした容貌を活かした

戦前としては先進的な自動車のセールスマン

(セールスウーマン?)の役柄に

ピッタリとハマっています

 

男性たちに負けないぞと

身体を張って演技する原さんが

新鮮で魅力的に見えました

 

②原さんに投げかけられる差別的言動に驚き!

 

タイピストからセールスマンに転身した

原節子さんに投げかけられる職場での

嫌味などはもはやセクハラどころか

女性蔑視そのもので驚かされました

 

現首相の「女性ならでは」などが

最近では「女性差別」と批判されましたが

それが大したことないと思えるほどの

キツすぎる言葉を浴びせられます

 

これが昔の男尊女卑社会だったのかぁ…と

その厳しさをまざまざと

見せつけられたような気がします

 

私も「男らしさ」を求められて

苦しんだりしますが

男性差別はまだあまり認められていないので

昔の女性の忍耐強さや差別を

サラリとかわす術などを学びたい

参考にしたいと思いました

 

それにしても主人公の原節子さんは

いくら家庭のお金の事情とはいえ

女性だらけのタイピストの職場なら

働きやすいのにわざわざ男性社会に

飛び込んでいったのには相当な

覚悟があったのだと思います

 

③他人を蹴落とそうとするほどの熾烈な社内争い!

 

セールスの現場では他人の手柄も

何とか自分のものにしようと

「女房と子どもを養わなきゃいけない」と

妻子がいないのに嘘をついてまで

自分が車を売ったことにしようとする

男性も出てきます

 

私は営業の世界は絶対に合わないだろうと

そちらの方面の仕事の経験が全くないのですが

さすがに上記のようなことまでは

ないでしょうか?

 

とにかく「生きるか死ぬか」とまで

思えるくらいに激しい争いに

驚いてしまいました

 

この映画のエピソード

➀「大根」と言われていた原さんの演技が好評を得た

 

戦前の原節子さんは「大根」と

その演技を酷評されていたことは

以前書いたのですが

この「東京の女性」は例外的に

演技が評判となったそうです

 

(貴田庄著『原節子 あるがままに生きて』を参照)

 

shouwatorajirou.com

 

 

というのも原作者の丹羽文雄さんが

原節子さんを想定して原作小説を書いたそうで

原さんに演じて欲しいと考えて

自動車のセールスウーマン

という設定にしたそうです

 

その原作者の戦略が

功を奏したのかもしれませんね!


②映画音楽と主題歌は最近脚光を浴びた服部良一さん

 

3月まで放送されていた

朝の連ドラ「ブギウギ」で最近

脚光を浴びていた作曲家の服部良一さんが

映画音楽と主題歌2曲「節子の唄」

(二葉あき子さん)と「処女の夢」

淡谷のり子さん)を担当しています

 

このうち「節子の唄」の作詞は

報知新聞の作詞募集で一等に当選した

女性によるものだそうです

 

(CD「SP盤復刻による日本映画主題歌集

(戦前編3)1938~39」ライナーノーツを参照)

 

職業作詞家さんではなく

一般の公募から選ぶという

そのような試みは新鮮ですね

 

③原さんの妹を演じたのは江波杏子さんの母!

 

活発で理知的な原節子さんとは対照的な

女の子らしい魅力を振りまく対照的な

妹を演じた江波和子さんという女優さんは

あの「女賭博師」シリーズで人気となった

江波杏子さんのお母様だそうです!

 

お母様も女優さんだったのですね

 

山本富士子さん主演のリメイク版が存在するらしい!

 

この映画には1960年に山本富士子さん主演で

リメイクされた作品もあるらしいです

お富士さん以外のキャストは叶順子さん

菅原謙二さんなど

 

しかし検索してもほとんど情報がないため

おそらく東京の名画座さんなどでも

かかったことはほとんどない

かなりレアな作品と思われます

 

お富士さん版も面白そうですけどね

見るチャンスはあるのかしら

 

ということで"昭和の働く女性"映画

第二弾も戦前の作品となりましたが

公開されたのが1939年

太平洋戦争の2年前ですが

戦争のことをまったく感じさせない

モダンな作品になっています

 

大都会の東京ですから

当然ネオンなどもあるのですが

ゼネラル・モーターズ」などの

横文字も出てきて驚かされます

 

次回はシリーズ第3弾の映画を紹介します

職業は何でしょうね~