- 木下恵介アワー「太陽の涙」を見た
- おおまかなストーリー
- ドラマの感想
- ➀序盤は三島雅夫さんが中心という意外な展開に驚き
- ②身寄りのない孤独な老人に寄り添う物語がいい
- ③沢田雅美さん演じる若い女の子がいい!
- ④菅井きんさん演じるお節介おばさんのリアリティ!
- ⑤ドラマ冒頭のナレーションの内容が深い!
- ⑥ラストの収まり方がいい!
木下恵介アワー「太陽の涙」を見た
BS松竹東急チャンネルで放送されていた
TVドラマ「太陽の涙」(1971年)を見ました
今年急に亡くなられた山本陽子さんが
出演されているということで
追悼の気持ちも含めて見ましたが
最初は思ったよりも山本さんが
活躍されないので不安になりましたが
最後はドラマの中心にいて
ホッとすると同時にいいドラマだったなぁと
しみじみしています
それではまずは
簡単なストーリー紹介から
おおまかなストーリー
寿美子(山本陽子さん)は
父親(浜村純さん)と二人暮らし
鉄板焼き屋さんで父と働いている
あるとき井上のおばちゃん(菅井きんさん)から
見合い話を持ち掛けられるが
「外国に行ってばかりの男性は
信用できない」などと言って
写真も見ずに断ってしまう
一方、お見合いをあっさりと断られた
正司(加藤剛さん)の弟が入院する
病院では身寄りのない孤独な老人・
小川さん(三島雅夫)が1年半も
入院していて、同じ病室の患者に
見栄を張るために、自分にはいま
イタリアのベニスに行っている
息子がいると嘘をついている
正司は旅行会社に勤めており
孤独な小川さんのためにと
親切心でベニスに行った際に
病院へ絵葉書を送ったりと
小川さんの息子であることを演じる
寿美子は見合いを断った正司と
あるとき偶然にも出会って
正司とは知らずに惚れてしまい
小川さんの息子と勘違いして
正司と会いたいばかりに
小川さんの病室を頻繁に訪れる
小川さんは寿美子にも
嘘をつき通すために嘘に嘘を重ねて
話が徐々にこじれていく
果たして正司と寿美子は出会い
結ばれるのだろうか?
ドラマの感想
➀序盤は三島雅夫さんが中心という意外な展開に驚き
このドラマのキャストを見たとき
ロマンティックな物語を想像して
いたのですが、いやはや意外にも
「ベニスに息子がいる」と嘘をついた
三島雅夫さんに周辺の人たちが
巻き込まれたり、親切心から
嘘に加担してあげたりと
三島雅夫さんを中心に話が進み
さまざまなキャストが絡む群像劇で
誰が主人公だとか、そういった作り方が
されていませんでした
美男美女の共演を楽しみにしていた方は
がっかりされたかもしれませんね(笑)
でも私としては想像とは違っても
なかなか楽しめました
以下に詳しく書いていきます
②身寄りのない孤独な老人に寄り添う物語がいい
三島雅夫さん演じる身寄りのない
孤独な病院患者の見栄のための嘘に
(沢田雅美さん)が付き合ってあげたり
三島雅夫さんが惨めな思いをしないよう
優しく接してあげているのは
人情味が溢れていていいなぁと思いました
こういう人情ですとか
助け合いの精神があったから
孤独死などを防いでいたと思うのですが
現代の日本では「自己責任」という言葉で
だれも孤独な人に手を差し伸べないのが
孤独死を増やしているような
気がしてなりません
日本社会が持っていた大事なものを
日本は自ら手放してしまったと思います
未婚者が増えていますから
孤独死も増えていくと思いますが
どうするのでしょうね
③沢田雅美さん演じる若い女の子がいい!
ほかの木下恵介アワー作品でもそうでしたが
加藤剛さんの不良っぽい弟さんに
「あんたさぁ」とあれこれ
物事をはっきりというのですが
不思議とキツイところがなくて
優しさがあるのですよね
沢田雅美さんはあまり美人とは
言い難いですが可愛らしさがあり
かつ上記のようなズバズバものを言う
さっぱりした性格ながら優しい部分もあり
とても魅力的な女優さんで
私は気に入っています…
④菅井きんさん演じるお節介おばさんのリアリティ!
縁談を持ち込む菅井きんさん演じる
お節介おばさんがもう最高です!
昭和にいたその手の女性そのものに
見えるのです!
そのようなおばさんが
数多くのカップルを成立させて
日本の人口維持に貢献してきたのですね
きっと
バカにできない存在で
日本社会への影響は計り知れないでしょう
そのようなお節介を焼く人がいなくなり
結婚相手は自力で探しなさいという
社会になったから未婚者が増え
少子化が進んでいる要因の
一つになっていると思います
⑤ドラマ冒頭のナレーションの内容が深い!
ドラマの冒頭では含蓄に富んだ
格言のような詩のような散文が
読み上げられるですが
とても深くて人間の本質を捉えた
内容に毎回ドキッとさせられました
正確には忘れましたが
例えば
「人間には優しさがりますが
それでいて傲慢です:などといった
文章なのですがすごいなぁ
だれが考えたのかなぁ
木下監督かなぁなんて思いながら
見ていました
⑥ラストの収まり方がいい!
ネタバレになるのではっきりとは
書けないのですがラストの終わり方が
とてもいい収まり具合なのです!
三島雅夫さんの嘘のことから
始まった騒動が収まりますし
その嘘はラストのための
伏線だったのかなぁと思える
ストーリーに無駄のなかったドラマ
だと思いました
というところで記事をそろそろ締めますが
ドラマの場面の画像が見たい方は
以下のサイトをご覧ください