昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

カミナリ親父をユーモアと温かい眼差しで描いたTVドラマ「おやじ太鼓」感想

 

木下恵介アワー「おやじ太鼓」について

 

BSの松竹東急チャンネルで放送されていた

木下恵介アワーの「おやじ太鼓」(1968~69年)

を見ました

 

このドラマは映画監督の木下恵介監督が

版妻こと阪東妻三郎を主演に撮った

「破れ太鼓」(1949年)のドラマ版です

 

脚本は木下監督自身で主題歌も

木下忠司さんが担当され

あおい輝彦さんが歌われていました

 


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子どもがたくさんいる昭和の大家族の群像劇

 

このドラマの主人公はカミナリ親父を演じる

進藤英太郎さんだとは思うのですが

妻はもちろん子どもがたくさんいて

お手伝いさんまでいるという大家族です

さらには子どもたちの恋人も出てくるので

群像劇という感じがします

 

ちなみに住んでいるのは田園調布!

かなり裕福な一家ですよね

 

(TVドラマ「おやじ太鼓」より。写真中央がカミナリ親父演じる進藤英太郎さん)

 

今は無き?カミナリ親父をユーモアと温かい眼差しで見つめている

 

このドラマは最近ではお見かけしない

カミナリ親父なるものを決して悪者にせず

ユーモアと温かい眼差しで見つめた

そんな作品だと思いました

 

カミナリ親父を演じる進藤英太郎さんは

ほとんどいつも怒った顔をして

いつも怒り調子で話をします

そして家族の誰かが親父を怒らせるような

ことをしでかすと雷を落とします

 

でも親父は決して暴力を振るうことはなく

怒ることも真っ当だなと

感じることもありますし

怒ってもどこか愛情が感じられるのです

良家ということもあるのか

言葉遣いも汚くないですし

 

そして家族の誰かが親父を怒らせそうな

ことをすると一斉に逃げ出したりする場面は

滑稽で笑えてきます(笑)

 

進藤英太郎さん演じる雷親父は本当にいたのか

 

カミナリ親父だなんて私の世代になると

漫画の世界、「巨人の星」の

あのちゃぶ台返しをする父親くらいしか

見たことがないので

現実には出会ったことがありません

 

私の子ども時代を思い返してみると

近所で友達同士で遊んでいて

ついつい悪いことをしてしまったときに

私や友達は激しく怒られたのですが

起こったのは母親でした

おそらくお父様は勤めに出ていて

不在だったのかもしれません

核家族化した時代でしたからね

 

私の世代からすると

この進藤英太郎さんはかなり誇張されて

漫画のような感じがしてしまうのです

 

ご近所さんを見渡しても

そういった感じのお父さんは見かけませんし

地震、雷、火事、オヤジだなんて

もはや死語だとも思います

 

でもいなくなったとされる

カミナリ親父は日本人男性(特に年配の方?)

のなかに気質として残っていて

形を変えて今でも現れていると私は思いました

 

それは職場のパワハラ上司や

学校の先生を困らせるモンスターペアレント

お店の店員さんを困らせるカスハラ

電車が遅れると駅員さんの胸ぐらをつかむ

そのような人たちです

 

パワハラ上司には過去の職場で

不幸にも出会ってしまったことがありますが

フロア全体に響き渡るくらいの

大声で怒鳴りつけたり

何かミスをすると30分くらい

ずっと立たせたまま説教をするなど

(しかもひどい言葉を使って)

まぁひどいものでした

 

男女平等が謳われて家では怒れない?

または長時間労働であまり家にいないために

職場の部下に当たったりするのかな?

という気がしました

 

平成に出てきたDV夫は暴力だけで

また殴られた方の奥さんも

「本当は優しい人なのよ」などと

言ったりすることもあって

躾という側面もあったカミナリ親父とは

性質を異にするかなと思います

 

このドラマで見えてくる昭和の世界

 

このドラマを見ていると

当時の時代背景、空気感が

いくつか見えてきました

印象的だったものを挙げます

 

➀政治について語り合う若者たち

 

劇中で若者たちで政治のことを

真剣に語り合うのです

憲法のことですとか

 

全共闘」という言葉も

何度も出てきます

 

放送された年が70年安保に近いですからね

 

日本がわずかながら政治意識を

高めた時代でした

 

翻っていまの若者は政治の話をすると

「真面目だね」とか「意識高い系(笑)」と

嘲笑の対象になってしまうそうです

新聞の投書欄に大学生が書いていました

 

日本の民主主義は随分と後退しましたね

まぁ所詮国民が勝ち取ったものではなく

GHQからもらったものですから

ありがたみが感じられないのでしょう

 

また「原爆を作ったり月に行ったりするなんて

人間って傲慢よ」なんて台詞も出てきます

 

いまだったらこのようなドラマは

地上波で作れないですよね

 

表現の自由もいまよりあった気がします

 

②音楽に関する話題

 

食卓で家族みんなで歌を歌う場面があり

「やっぱり昔の歌はいいわね」

なんて話になってあおい輝彦さんが

「いい音楽はグループサウンズだよ」

というと「あんなのは軽薄な音楽よ」

と返されてしまいます

 

いつの時代も世代によって音楽は

好みが違うと言いますか

ある程度歳を重ねると

新しいものがわからなくなっていく

ものなんですね

 

私の場合もいまの流行は

まったくわからないですから(笑)

 

③日本の人口に関する言及

 

家族で旅行に出かけた際に

「日本は人口が多すぎる

どこへ行っても人、人、人」

などという台詞が出てきて驚きました

 

いまは「少子化で大変だ」と言われていますからね

 

確かに小さい国土の割りには多いですよね

日本の国土ではどれくらいの人口が

適正なのでしょうね

 

スウェーデンのイメージ

 

いまでこそ福祉国家ですとか

オシャレな北欧家具などのイメージのある

スウェーデンですがこのドラマの時代では

ポルノ映画が製作されていたようで

性に関してオープンな国

というイメージがあったようです

 

そのようなことに関する描写が

このドラマに出てきます

 

ネットで調べて見ますと

都内の名画座さんでのロマンポルノ特集で

日活作品だけでなくスウェーデン製の

作品も上映されていたりしたみたいです

 

これはオドロキですね…

 

私は男性なのにエロが苦手で

男女関係なくそういう方がいらっしゃると

思いますので参照元の記事などは

貼りませんがある意味

昭和の勉強にはなりました

 

余談(勘違い)

 

親父に関するドラマの記事なので

最後にくだらないことを書いて

締めようと思います

 

このごろネットの記事などで

パパ活」なる言葉をよく目にしていて

私はてっきり育児を頑張るお父さん

という意味で捉えていて

イクメンを超えてさらに育児参加する

男性が世の中に増えたのかな?

と思ったのですが

パパ活女子」なる言葉を目にして

あれ?と思って調べたところ

パパ活」は全然違う意味でした…

 

職場などで使わなくてよかったです…

危うく赤っ恥をかくところでした…

くわばらくわばら

 



 

 

 

 

 

 


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