昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

自立して男性と対等に渡り歩く広告代理店の女性!"昭和の働く女性"映画③「その場所に女ありて」

 

"昭和の働く女性"映画第3弾は広告代理店の女性社員!

 

ここまで紹介してきた"昭和の働く女性"映画

女性弁護士、自動車のセールスに続く

第3弾は何と広告代理店の女性社員!

「その場所に女ありて」(1962年

鈴木英夫監督)という作品を紹介します!

 

広告代理店の女性社員といっても

昭和は腰掛けOLだから

仕事内容はお茶くみとかコピー取りとか

そんなものでしょ?と思ったそこの

ア・ナ・タ!これが違うんですよ!

 

詳しくは以下に書いていきます

まずはストーリーから

 

おおまかなストーリー

 

銀座の広告代理店の社員・司葉子さんは

男性社員やほかの女性社員とともに

製薬会社の目薬の広告をめぐって

日々アイデアを出し合いながら

知恵を絞って働いている

 

司さんがふとつぶやいた

キャッチコピーを山崎努さんが

自分のものとして使い

自社の広告が製薬会社に採用され

山崎努さんは賞も受賞する

 

ただし次の広告ではライバル会社に

負けてしまった

 

ライバル会社の社員の宝田明さんと

関係を持った司さんが

ライバルに協力したのでは?

と疑いをかけられるもすぐに晴れ

会社は次の広告こそ自社が

撮って見せると意気込む

司さんも同様だった

 

広告業界での競争のなかで

これからも司さんは仕事に邁進していく

 

(撮影現場にて鈴木英夫監督(左)と司葉子さん(中央)、宝田明さん(右))

 

映画の感想

➀女性社員が男性と同等に働いている!

 

公開は1962年という男女雇用機会均等法すら

まだなかった時代にして女性社員たちが

男性社員たちと同じフロアで対等に

働いていて、社内の会議にも参加して

広告業界独特のちょっと難しそうな

ビジネスの話もしています

 

これは驚きでしたね

広告業界で会社の所在地が銀座!

このような場所で働く女性は別格の

エリート扱いだったのでしょうか?

 

映画を見ながら頭も弱く

エリートでも何でもない私などは

このような職場ではとても

働いていけないなと思ってしまいました(笑)

 

あとは東京都心の朝の通勤の風景!

人、人でごった返していて

これも私には無理だと思いました(笑)

 

仕事帰りには洒落たバーでお酒を飲んだり

もうライフスタイルがまるで

違うなぁとも思いました

 

そういう社会人生活に憧れるかといえば

私は自分には向かないなぁと思うだけで

あんな風になりたい!などの願望は

特に抱かなかったですね

 

私は洒落たバーで飲むなんて

そんな柄じゃないので(笑)

 

②主演女優として司葉子さんはこれ以上ない適役!

 

背丈がスラっとしていて知的な雰囲気もあり

かつ女優さんとしての美貌も申し分ない

司葉子さんはこの映画のヒロインに

ピッタリというか、司さん以外考えられない

と思いました

 

あの背の高い2枚目俳優さんの

宝田明さんと並んで歩いていても

不釣り合いだなと思うことはなく

ごくごく自然でいいなと思いました

 

昭和ですから軽いセクハラなども

あるのですがそれを拒否したり

受け流すカッコよさといったら!

私はシビれちゃいました

 

司さんかっこいいなぁと感じる

女性もいるのではないでしょうか

 

(撮影現場にて、鈴木英夫監督(右)と司葉子さん(左))

 

司葉子さんは見合い話も断って仕事に邁進!

 

とはいってもやはり昭和の時代

司さんのもとには見合い話が持ち掛けられます

しかし司さんはその話を断ります!

27歳という当時の適齢期を過ぎていて

普通なら早く結婚しろ!という圧力が

かかるところですが見合い話を

持ってきた男性社員は「そうか」と

その一言だけ(笑)

 

やはり昭和といえども

エリート女性は別格扱いだったのでしょうか?

 

検証!当時の広告代理店をリアルに描いているか?

 

さて、女性が男性と対等に働く女性がいる

そのような職場はこの当時(1962年)に

本当にあったのか検証してみたいのですが

後述するように広告代理店と接点のあった方を

共同脚本に迎えてシナリオが書かれていますし

鈴木監督は以下のような発言をされています

 

メロドラマにならないから

会社はいつも不満ですよ

 

メロドラマを会社は狙ってるけど

僕はちょっと…

ついリアリズムで撮っちゃうから

 

僕はサラリーマンものをやっても

重くなっちゃうんですよ

だから「お前のサラリーマンものは

何だ、あれは」と怒られちゃうんですよ

 

三軒茶屋スタジオams発行?のパンフレットより引用)

 

以上の発言と(特にリアリズム)

広告代理店を知っている方を

共同脚本に迎えたことを考えると

これは現実に忠実に作られた

当時の広告代理店の様子を反映した

映画なのではないかと思います

 

鈴木英夫監督)

 

この映画のエピソード

➀モデルとなった会社はあのD社!

 

この映画の広告代理店のモデルとなったのは

最近ではマイナスイメージのあるあのD社!

 

共同脚本の升田商二さんがD社と接点があり

東宝社内でもそういうセクションにいた

(他社とやりとりする部門でしょうか?)

ということがあったようです

 

しかし鈴木英夫監督によると

あまりD社に直接触るようなことは

避けて欲しいというチェックが

入ったのだとか

 

サンパウロ映画祭で審査員特別賞を受賞!

 

この映画は1963年のサンパウロ映画祭で

何と審査員特別賞を受賞しました!

 

下は映画祭の詳細を伝える

「オ・エスタド・デ・サンパウロ」祇の

記事なのですが、司葉子さんの写真が

堂々と掲載されています!

 

 

映画祭には当時鈴木監督は仕事があったため

出席できなかったそうなのですが

外務省から通知があって驚いたのだとか

 

ちなみに女優賞はソフィア・ローレンさんが

獲ったみたいです

司さん、惜しい!

 

というところで今回はここまで

 

ここまで読んでくださった方には

察しが付くかと思いますが

1960年代前半にして腰掛けOLではない

本格的に仕事に打ち込んでいた女性を

描いているという点で

この映画はかなり先進的な内容であることを

感じ取っていただけたのではないでしょうか

 

さて第3弾まで紹介してきた

"昭和の働く女性"映画シリーズは

次回の第4弾で終わりです

 

最後はどんな職業が出てくるでしょう?

 

参照:

三軒茶屋スタジオams発行?のパンフレット