昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

秩父の旅館を舞台にした義理人情溢れる恋愛・結婚ドラマ!「思い橋」感想

 

木下恵介アワー「思い橋」を見ました

 

BSの松竹東横チャンネルで最近

放送されていた木下恵介アワーのドラマ

「思い橋」(1973年)を見ました

 

脚本は山田太一さんでも

木下監督でもないのですが

とてもいいドラマでしたので

以下に感想などを綴りたいと思います

 

(和室でくつろぐ淡島千景さん。ドラマとは関係のない画像です)

 

おおまかなストーリー

 

舞台は秩父にある老舗旅館・二上

その前方にある「思い橋」という橋に

何やら思いつめたような若い女性が

飛び込み自殺を図るが

何とか一命をとりとめるという

何やら不穏な幕開けでドラマは始まる

 

そこへ謎めいた男・北(藤岡弘)が

旅館にやってくる

 

荷物も持たず手ぶらで

いったいどんな男なのか

ある日は大金が入った

財布を預けて出かけていく

 

女性が自殺を図った原因は失恋だった

 

旅館の女将(淡島千景)は

その女性・幸子に見舞いに行ったりして

交流をし、退院後は旅館の世話になり

旅館の仕事を手伝うようになる

 

その一方で北に思いを寄せる姉・多美を

北と一緒にしようと妹・桂’(松坂慶子)が

いたずらっぽくいろいろと画策する

 

旅館の経営状況が芳しくない中

北がさまざまな案を出して

旅館を繁盛させようとするが

一体何のためなのか?

 

ある日2人の男性が旅館を訪れてきた

買収を行うことで有名な

トラベル・チェーンという会社の重役で

北は彼らの部下だというのだ

 

旅館・二上の人たちは北が

巧妙なやり方で二上を乗っ取ろうと

画策していたと思い憤慨した

 

北は旅館のみんなに嫌われてしまうが

「出て行ってください」と言われても

頑なに宿泊を続ける

 

しかしあるとき団体客を150名を

旅館に呼び寄せて北は感謝される

 

実は北は買収を画策しようとする

会社の重役に反発し、二上を守ろうと

していたことが知られる

 

ただ多美も桂もともに北のことが好きで

幸子には以前の恋人との間の子どもが

できていることが発覚し

幸子に思いを寄せる良男が

幸子と結婚してその子どもを育てると

突拍子もないことを言い始める

 

それぞれの恋・結婚の行方は?

二上の運命はどうなるのか?

 

ドラマの感想

➀自然に囲まれた秩父の風景に癒される

 

通常、TVドラマというと東京などが

舞台になることが多く

オフィス街やオフィス内の様子が

映し出されることが多い印象がありますが

このドラマは大都市からは離れた

自然が豊かな秩父が舞台で

その緑や山々や川の流れを

見ているだけで何だか心が

落ち着くような感覚になりました

 

②登場人物の言葉遣いがキレイでホッとする

 

これはこのドラマに限らず

昭和のTVドラマ全般に言えることですが

現代の「キモイ」やネット上のキツイ言葉など

あまり心地いいとは言い難い言葉に

日々触れている現代人の私としては

昭和の人々の言葉遣いの丁寧さ

品の良さが心地よくてホッとします

 

淡島千景さんが役に似合いすぎている(笑)

 

旅館の女将を演じる淡島千景さんが

あまりに役に似合いすぎていて

演技しているようには見えない

自然さがすごいと思いました

 

映画「駅前」シリーズでも

女将役はよく似合っていましたからね

 

演技しているように思えないとは

俳優さんにとっては最高の

境地に達していると思います

 

④義理人情溢れる物語・人物たちに心打たれる

 

自殺を図った女性・幸子のお見舞いに行ったり

旅館のお手伝いとして雇ったり

現代からすると考えられないような

日本人がいまや失ってしまった

助け合いの精神や思いやり

義理人情に溢れるストーリーと

登場人物たちに心打たれました

 

自殺を図った女性を助けて

その人をそのまま雇うなんて

現代では絶対にあり得ないですよね

 

いいですねぇ~この昭和の義理人情!

現代は世の中ちょっと冷たくて

温かさや寛容さがないですよね

 

⑤明るいお嬢さん・松坂慶子さんの演技が光る

 

大人しくて物静かな姉とは対照的な

明るいお嬢さんを演じる松坂慶子さんの

演技がよくて印象に残りました

 

ときにコミカルで笑いを誘ったり

いい存在感を出していました

 

この妹の松坂慶子さんがお姉さん思いで

これがまたホロリとさせるのですよ~

義理人情に溢れていて

 

花沢徳衛さんの昭和オヤジっぷりもいい!

 

花沢徳衛さん演じる板前さんが

いかにもな昭和オヤジで

笑えてくるほど似合っていて

ちょっと怒りっぽいのですが

根は義理人情に溢れたオヤジで

このような古き良き昭和オヤジも

もう絶滅してしまったかな?と思うと

残念な気持ちとやっぱり昭和は

いいなぁ~としみじみ思いました

 

⑦謎の男・北を演じる藤岡弘さんの存在感

 

謎の男・北を演じる藤岡弘さんも

ワイルドな風貌でいい存在感を出していました

 

藤岡さんのようなタイプの男性も

絶滅してしまったかなぁと思います

 

ドラマ全般の感想

 

さまざまな登場人物が出てくる群像劇ですが

物語がよくまとまっていますし

物語の運び方もうまくていいシナリオですし

登場人物のキャラクターもそれぞれで

みなさん魅力的で個性を生かしていて

シナリオ・配役・演技のどれもが

優れた良質なドラマで大満足です!

 

ちなみにドラマでロケに使われた

旅館はこちらだそうです

 

www.miyama-onsen.com

 

旅行ガイドにも載っています

 

ドラマを見てご興味を持った方は

どうぞ秩父へお越しやす~

 

次回の同じ時間帯にはまたまた

木下恵介アワーのドラマ「太陽の涙」が

放送されるので楽しみです!

 

加藤剛さんや先日亡くなられた

山本陽子さんも出演されているとのことで

山本さんを追悼しつつ見たいと思います!