昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

弁護士を目指す女学生たちの美しい友情物語!"昭和の働く女性"映画➀「新女性問答」

 

新シリーズは朝ドラに便乗した"昭和の働く女性"映画!

 

さて4月になり国営放送さんの

朝の連続テレビ小説の内容に合わせて

4月は"昭和の働く女性"をテーマに

映画を紹介していくことにしました

 

www.nhk.jp

 

しかも今回紹介する映画は

朝ドラの内容とよく似た

弁護士を目指す女学生たちを描いた

「新女性問答」(1939年、佐々木康監督)

という作品です!

 

朝ドラのヒロインのモデル・三淵嘉子さんは

1938年に司法試験に合格され

日本初の女性弁護士になられたそうですが

映画はその翌年に公開されたということで

新鮮な題材にいち早く映画界も

飛びついたわけですね!

 

とはいってもこの「新女性問答」という映画は

原作があり、三淵嘉子さんのこととは

直接の関係はなさそうです

 

しかし原作者がそのことに触発されて

物語を書いたかどうかは不明です

 

前置きが長くなりましたが

まずはストーリー紹介から

 

おおまかなストーリー

 

弁護士を目指して大学に通う

女学生7人のうちの一人・路子(三宅邦子)が

結婚することになり、お祝いパーティを開く

 

そのパーティの場で路子の結婚相手の

写真を見た時代(桑野通子)は

その相手が芸者をしている姉(川崎弘子)の

恋人の村川であることを知り

このことをきっかけに路子と時代は

喧嘩をして絶交してしまう

 

また軽蔑・差別されることを恐れて

時代は姉が芸者をしていることを

隠していたが、ある日そのことが

女学生仲間たちにバレてしまい

軽蔑の目を向けられてしまい

時代はほかの仲間たちとも絶縁して

たった一人で勉学に励み

弁護士を目指すことになる

 

バラバラになってしまった7人の

友情は元に戻るのか?

そして果たして弁護士にはなれるのか?

 

映画の感想

➀川崎弘子さん・桑野通子さんの対照的な姉妹がいい!

 

女優陣の中で、川崎弘子さんと桑野通子さんの

対照的な姉妹が何とも役柄にピッタリで

これ以上ないキャスティングでいいです

 

和風美人で慎ましい川崎弘子さんは

芸者役が適役で、洋装がよく似合う

モダンガール・桑野通子さんは

弁護士を目指す近代的な女性にピッタリ!

 

(弁護士を目指す女学生を演じた桑野通子さん)

 

差別されるとわかっていながら

川崎さんが芸者をやっているのも

桑野さんの学費を稼ぐためという設定が

何とも感動的な姉妹愛で泣けてきます(泣)

 

(芸者として働いて妹を支える和風美人の川崎弘子さん)

 

②映画音楽・主題歌ともに作曲は万城目正さん!

 

映画音楽と主題歌「乙女七人」(ミス・コロムビア

と「純情の丘」(二葉あき子さん)の作曲を

手掛けたのは何とあの万城目正さんという豪華ぶり!

 

万城目正さんはどれくらいの知名度があるのか

私にはわからないのですが(周囲に1970年代より

前の昭和歌謡を聴く方がいないため泣)

あの美空ひばりさんのデビュー曲「悲しき口笛

(1949年)や島倉千代子さんのデビュー曲

「この世の花」(1955年)を手掛けられたほか

戦前の大ヒット映画「愛染かつら」の主題歌

「旅の夜風」(霧島昇さん、1938年)や

終戦直後に大ヒットしたあの「リンゴの唄」

並木路子さん)なども作曲された

すごい方なのです!

 

そしてこの映画の主題歌2曲の作詞は

よく万城目さんとコンビを組まれた

あの西條八十さんとこれまたすごい方!

これには鳥肌が立ちました!

(興奮しているのは私だけ?)

 

「純情の丘」は劇中で何度も歌われるのですが

ラストシーン近くでは大合唱となって

これまた鳥肌ものなのです!

 

映画音楽も主題歌も贅沢な布陣です!

 

③職業差別へ物申す描写がいい!

 

女学生の1人である桑野通子さんの姉・

川崎弘子さんが芸者をやっていることが

皆の嘲笑と差別の的となるのですが

これに対して桑野さんが憤りを

露わにするのですが、この描写が

「職業差別はいけない」ということを

訴えていてとてもいいなと思いました

 

最近は「底辺の職業ランキング」という

ネット記事が出たり、「上級国民」ですとか

「親ガチャ」といった、人々の間で

序列がつけられる傾向がありますが

まるで戦前に回帰しているようで

危機感を覚えます

 

toyokeizai.net

 

タモリさんが仰ったように

やはり現代は「新しい戦前」なのでしょうか

 

④人物描写がとても優れている

 

先述したような職業差別など

人間の嫌な部分が描かれながらも

思いやりのある人物も何人か出てきて

人間の持つ善悪の両面が描かれていて

勧善懲悪ではない人物描写がとてもいいですね

 

人間は誰しも長所と短所がありますよね

いいことをすれば悪いこともする

そういう生き物であることを

改めて感じさせてくれます

 

⑤ラストの弁論場面の演技に舌を巻く!

 

ネタバレになってしまうので

はっきりとはいえないのですが

(でもだいたい想像がついてしまうかな?)

7人の女優さんのなかで晴れて

弁護士となった女優さんが最初の裁判の

弁論場面で10分くらいの長い弁論を

ほぼノーカットで(数カットはあったかな?)

披露する場面には感激しました

よくこんな長台詞をほぼカットなしで

堂々たる演技で話せるなぁ

すごいなぁと思ってしまいました

 

ちなみに私はその女優さんの大ファンです!

 

ということで新しい朝の連ドラに合わせて

始めた"昭和の働く女性"シリーズ

第一弾は奇しくも連ドラと同じ

女性弁護士にスポットを当てた作品でしたが

いかがだったでしょうか?

 

もし私の駄文を読んでご興味を持って

下さった方がいたらぜひ

「新女性問答」という映画を

ご覧になってみてください

 

次の第二弾はどんな職業が出てくるでしょうか?

 

最後に主題歌「純情の丘」を貼っておきます

 


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