- 大河ドラマに便乗?平安時代を描いた作品を紹介
- おおまかなストーリー
- この映画の時代背景
- 映画の感想
- ➀セットの豪華さ・衣装の華やかさ
- ②養子縁組に出された雷蔵さんの実人生と重なる
- ③庶民の身なりから格差社会だったことが伺える
- この映画のエピソード
- ➀原作は吉川英治の連載小説
- ②溝口監督が徹底的に雷蔵さんをしごいた
- ③雷蔵さんが語る「新・平家物語」
大河ドラマに便乗?平安時代を描いた作品を紹介
放送が始まりましたね
ということで当ブログも便乗?して
平安時代を描いた時代劇映画を
シリーズで紹介することにしました
その第一弾作品は溝口健二監督
ん?あ!間違えました!
「新・平家物語」(1955年)でございます
この市川雷蔵さんという俳優さんも
凄い方なんですよね~
いずれ紹介したいと思っています
おおまかなストーリー
ときは平安時代末期
西海の海賊征伐から帰還して
長男清盛(市川雷蔵)らを従えて
上皇に報告をしたが武士をさげすむ
公家たちは恩賞を与えず
労をねぎらうこともしなかった
藤原時信(石黒達也)はこれに
異議を唱えたため謹慎処分を受ける
清盛は忠盛の書面を持って時信を訪ね
そこで時信の娘・時子(久我美子)を見て
強くひかれる
その後清盛は商人の口から
本当の父は白河上皇だと知らされる
清盛は真相を家来のの家貞に
問いただすが真相ははっきりしない
清盛の本当の父は一体だれなのか
この映画の時代背景
この映画の時代背景は
貴族の警備的存在だった武士が
次第に勢力を持ち始め
源氏と平氏という二大勢力が台頭し
貴族階級が没落していく
そのような時代のなかで
平清盛の青年時代を描いているようです
映画の感想
➀セットの豪華さ・衣装の華やかさ
この1950年代という時代は
まだTVが普及する前で
映画は娯楽の王様だったため
資金が潤沢でこの映画に限らず
時代劇はセットが豪華で衣装も華やかで
またエキストラの数が多くて群衆が本物のようで
まるで本当にその時代の人々を見ている
そんな感覚に陥ります
この華やかなセットや俳優さんの着物姿を
見ているだけで、それだけで芸術品のようにも
思えてきます
②養子縁組に出された雷蔵さんの実人生と重なる
この映画のストーリー、清盛が
自分の出生の秘密について思い悩むのは
養子縁組に出されて生みの親と育ての親が
異なる雷蔵さん自身の実人生が思い出され
まるで雷蔵さんのために作られたような
映画だなぁという思いがしました
この雷蔵さんの養子縁組
実人生についてはまたの機会に
詳しく紹介したいなと思います
(映画のワンシーンから。中央で矢を放とうとしているのが市川雷蔵さんです)
③庶民の身なりから格差社会だったことが伺える
公家と武士に焦点を当てた映画なので
きらびやかな衣装や豪華なセットに
目が行きがちなのですが
庶民の姿も映し出されており
私は見逃しませんでした(笑)
庶民はきちんとした格好などしておらず
ボロボロの格好で
この時代も明確な身分制度があり
格差社会だったことがわかります
映画の冒頭のナレーションでも
貴族や寺社が租税免除の特権を持ち
国の経済は危機に瀕していたと語られ
まるでいまの日本に重なって見えます
また、都では放火や盗賊が相次ぎ
地方は飢饉に悩まされていたとも
ナレーションで語られます
格差がなかったのは縄文時代くらいで
戦後の日本の「一億総中流」社会は
奇跡のようなものだったのでしょうか?
よく年配の方が言う「昭和はよかった」
というのは人々が中流意識を持っていて
経済が右肩上がりだった時代ですよね?
私も「一億総中流」の昭和の時代が
好きで好きで堪らなくて
(といっても影も形もありませんでしたが)
どうしても憧れてしまうのですが…
この映画のエピソード
➀原作は吉川英治の連載小説
この映画の原作は吉川英治が
「週刊朝日」に連載していた小説で
まだ連載中だったにも関わらず
大映がシリーズとして映画化しようとした
第一作目で大ヒットを記録し
1954年に「花の白虎隊」でデビューした
市川雷蔵さんが演技開眼し
出世作となったようです
ちなみに第二作は「義仲をめぐる三人の女」
(島耕二監督)です
②溝口監督が徹底的に雷蔵さんをしごいた
溝口監督の映画作りというのは
まずカメラを回す前にテストをして
脚本を読み合わせるところから
始まります
この「新・平家物語」も例外ではなく
初めは朝から晩までテスト、テストの
繰り返しだったそうです
脚本の読み合わせをするときに
台詞を黒板に書きだして
溝口監督は脚本家さんを呼び出して
「この台詞はいらない」などと言って
手直しをさせます
そうして朝からテスト、テストが続き
なかなか撮影に入らず
現場の雰囲気が「溝口監督が勝つか
雷蔵さんが勝つか」という雰囲気になり
我慢比べのような感じで
でもそれに雷蔵さんは耐えて
撮影に入ったあとはスムーズに進んだそうです
(雷蔵さん(左)と溝口監督(右))
③雷蔵さんが語る「新・平家物語」
思い入れのある作品になったようで
「一生忘れられない仕事になりそうである」
と書いています
清盛役に抜擢されたことに関しては
雷蔵さん自身もビックリして
「初めのうちは半ば気おくれがした」そうです
また、溝口監督の厳しい演出については
「私は鈍感なせいか少しもそうは感じなかった」
そうで、さらに「毎日仕事をしていると
必ず身につくことが一つや二つあった」とも
綴っていて、雷蔵さんにとって有意義な
撮影、作品になったようです
(照明を浴びる市川雷蔵さん)
というわけで大河ドラマに便乗した
映画紹介シリーズ第一弾「新・平家物語」は
以上になります
普段から古い日本映画をご覧になる方は
平安時代というとあの映画が出て来るなぁと
容易に想像ができてしまうでしょうが
シリーズ形式にして紹介しているのは
若い方や古い映画に抵抗がある方に
古い映画の魅力を伝えたいという思いから
私なりに工夫してやっていることなので
どうかご勘弁ください
参照:
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