昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

追悼!山田太一さん!昭和のTVドラマの面白さを教えてくれた脚本家さん

 

追悼!山田太一さん!

 

先日、「岸辺のアルバム」や

ふぞろいの林檎たち」といった作品で

TV界に大きな功績を残された脚本家の

山田太一さんの訃報が入ってきました

 

www3.nhk.or.jp

昭和のTVドラマの面白さを教えてくれた存在

 

昭和を知らない世代である私が

初めて見た昭和のTVドラマは

山田太一さんの作品でした

 

NHKで放送された「男たちの旅路

(1976~82年)が最初に見た作品で

私の好きな昭和の映画スターである

鶴田浩二さんが主演を務めている

ということで興味を持ち

2014年に再放送された際に見て

あまりの面白さ、深さに感銘を受け

それ以来何作か見て、いまではすっかり

尊敬する脚本家さんになりました

 

そこから山田さん以外の昭和のTVドラマ

向田邦子さんの作品やTVシリーズの「座頭市」や

昭和の大河ドラマや朝ドラ「おしん」など

さまざまなドラマに魅了されました

 

山田太一さんは私に昭和のTVドラマの面白さを

教えてくれた大事な存在なのです

 

では以下に私が感じた山田太一さんの

作品の魅力を書いていきたいと思います

 

山田太一さんのドラマの魅力

➀会話のすごさ・面白さ

 

山田太一さんのドラマの魅力

まずは何と言っても会話のすごさ

面白さでしょう

 

TVドラマなので映像的な面白さはないのですが

会話が練りに練られているのか

名言と言えるような台詞がどんどん出てきます

 

登場人物たちがとても深みのある内容を

話したり議論したりするので

見ているこちら側としてはもう

一言も聞き逃せないという気持ちになり

その世界にグイグイ引き込まれてしまうのです

 

②時代を先取りする感覚があり内容が古びない

 

これは「男たちの旅路」の「車輪の一歩」で

障害者問題を、「シルバーシート」で

高齢者問題をいち早くテーマに取り上げるなど

時代を先取りする感覚を山田太一さんは

持っていて、障害者も高齢者の問題も

現代でも社会問題になっており

普遍的な内容のストーリーになっているので

年月が経っても古びることがないのです

 

実際に、「男たちの旅路」ではこの「車輪の一歩」と

シルバーシート」が高く評価されているようです

 

③複数の人を対比して物事を多面的に考察する

 

山田太一さんの作品をいくつか見て行くなかで

私はある特徴に気がつきました

それは複数の人を対比させて

物事を多面的に考察している

ということです

 

例えば「男たちの旅路」では

戦争を知る世代である鶴田浩二さんと

知らない世代である水谷豊さんや

桃井かおりさんに世代間の価値観の違いを

議論させています

 

そしてそこで山田太一さんは

どちらにも肩入れしないで

どちらの主張も「一理あるな」と

視聴者に思わせる深い洞察のある

台詞を言わせてさまざまな角度から

世代間の価値観を見つめているのです

 

また「沿線地図」(1979年)のように

銀行員の息子で裕福で何不自由ない

学業も成績優秀であるにも関わらず

恋人と一緒に同棲生活を始めるという

意外な人物が突拍子もない行動に出るという

そのようなパターンの作品もあるのですが

ここでも裕福なエリートサラリーマン家庭と

自営業を営む庶民的な家庭の2つが対比されます

 

山田太一さんは対比がお好きなようなのです(笑)

 

④双方の議論を通じて歩み寄りを模索している?

 

また「男たちの旅路」を例にとりますが

「若者は嫌いだ」と言う鶴田さんに対して

水谷さんら若者は反発しますが

議論を重ねてともに仕事をしていくなかで

鶴田さんの主張も一理あり

若者たちの反発も理解できるところがあるので

水谷さんは徐々に鶴田さんに対し

尊敬の気持ちを抱くようになります

 

鶴田さんも「若者は嫌いだ」という

固い気持ちが柔らかくなっていき

少しずつ双方に歩み寄りが見られるように

変わっていきます

 

これは山田太一さんの理想?

というのが私の勝手な解釈なのですが

世代間で分断されたままだと

社会がいい方向に向かわない

議論を重ねてお互いが理解し合うことが

よりよい社会になるために必要なのでは?と

ドラマ作りを通じて模索している

そんな気がしてしまいます

 

議論を重ねるのは現代においても必要

 

今年はネットで女優さんが

「デート代は男が負担すべき」と

発言したところから炎上して

男女平等の在り方などが問われたようですが

私が以前ある交流型SNSをやっていたころの

印象としてはその手のSNSは自分の主張や

価値観を言いっぱなしで

しかも汚い言葉や暴力的な言葉が飛び交い

ののしり合ったりといった感じで

私としてはあまり居心地のいい空間ではなく

建設的な議論が行われているとは

言い難い現状がありました

 

私はそうした男女平等の在り方や

若者が恋愛しなくなったということなど

大いに議論してもらいたいと思うのですが

山田太一さんのドラマのように

建設的な議論にするためには

あまりSNSは向いていないような気がします

 

私としてはTV番組でそういった問題について

議論する場を設けるか

若い人たちが好むYouTube

そういった番組を作って配信する

というのがいいと思います

 

今も山田太一さんが生きていたら?

 

もしいまも山田太一さんが生きていらして

脚本を執筆するとなったら

男女平等の在り方や少子化の要因

ただ単に子どもを産まないのではなく

多くの若者が子どもを産む以前の

恋愛や交際にまでたどり着けない

現状を世代間で議論させるドラマを

作って欲しかったなぁと思います

 

でもそれは叶わないことです

なのでTVやYouTubeで議論して欲しいのです

 

でもTVドラマの方があらゆる世代に

アピールできると思うのですよねぇ…

 

本当に山田太一さんの訃報はショックでしたが

私に昭和のTVドラマの面白さ、奥深さを

教えてくださった大切な方です

ありがとうと感謝の気持ちもあります

 

山田太一さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます

 

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