昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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日本にも戦時中にスパイ組織が存在していた!学校で学べない歴史映画➀「陸軍中野学校」

 

予定変更!没後55年の市川雷蔵さんの映画を紹介

 

前回「冷房なしで過ごせた昭和の夏映画」

と銘打って小津安二郎監督の「東京物語

を紹介し、今回はそのシリーズ第2弾を

取り上げるつもりだったのですが

7月17日は俳優・市川雷蔵さんの

没後55年にあたる命日で

どうしても雷蔵さんの映画を紹介したくなって

主演映画陸軍中野学校(1966年)を

紹介することにしました

 

(「陸軍中野学校」より加藤大介さん(左)と市川雷蔵さん(右))

 

「冷房なしで過ごせた昭和の夏映画」

第2弾は来週に延期です

 

それでは本題に入ります

 

おおまかなストーリー

 

陸軍少尉の三好次郎(市川雷蔵)は

軍から呼び出され、しばらく家には

帰れないと母と婚約者の雪子

小川真由美)に告げ、家を出る

 

命令に従い、行ってみると

そこで次郎は草薙中佐(加藤大介)から

奇妙な質問を浴びせられる

 

それから次郎は17人の陸軍少尉とともに

靖国神社近くのバラックに集められた

何とそこはスパイを養成する学校で

家族と会えなくなること、本名を捨て

偽名を名乗ること、戸籍も捨てるようにと

命じられ、次郎は家に帰れなくなった

名前も椎名次郎に変わる

 

スパイの訓練は厳しいもので

脱落するものも少数いた

 

一方、まったく帰ってこない

次郎を心配した婚約者の雪子は

次郎を探しに行くが

手がかりをつかめなかた

 

しかし諦められない雪子は

陸軍参謀本部に英文タイピストとして

働き、英国人に情報を提供する

スパイとなる

 

中野学校の教育も進み

ついに生徒たちに英国の暗号を解読

するためのコードブックを英国領事館

から盗むようにとの命令が下る

 

しかし手にしたはずのコードブックは

使い物にならなかった

何者かによって英国側に情報が

漏れていたのだ

 

中野学校の生徒たちの作戦は

上手くいったはずで、陸軍参謀本部から

情報が漏れたと疑った次郎は

参謀本部を見に行くとそこで

雪子の姿を発見した

 

尾行して見ると雪子が英国紳士に

情報を渡しているところを見てしまう

 

婚約者がスパイ行為を行っていると知った

次郎は果たしてどのような行動に出るのか

 

(陸分中野学校の生徒たちと中佐の加藤大介さん(右))

 

映画の感想

➀戦争中に日本にもスパイ組織があったことに驚き!

 

まずは何と言っても

戦時中に日本にもスパイを養成する

学校があったことに驚きました!

 

しかも偽名を使って戸籍まで捨てるとは

もはや自分を捨てて別人になって

生きるという決断させられるとは…

 

教育内容にも興味津々で見入ってしまい

変装や語学の取得から女性の扱い方

さらには拷問を受ける訓練まで!

私にはとても耐えられません(笑)

 

②本格的スパイ・サスペンス映画として十分楽しめる

 

この映画は純粋に面白いプロットで

見る人を楽しませてくれる緊張感ある

スパイもの・サスペンス映画として

楽しめます

 

しかも完成度は海外のスパイもの

サスペンス映画に引けを取りません

日本にも本格的なスパイ映画があることにも

驚かされました

 

中野学校のことを知らなくても大丈夫です

私はその物語の展開に引きつけられ

最初から最後まで目が離せず

夢中で見てしまいました

 

③終始クールな演技をみせる雷蔵さんが印象的

 

出演者のなかでいちばん印象に残るのが

やはり大スター・市川雷蔵さんです

 

雷蔵さんは決して熱演することなく

終始クールな表情で演じ切り

恋人がスパイであることがわかっても

表情を変えることなく

緊張感あるサスペンス映画に

相応しい存在感を見せてくれています

 

 

 

④婚約者役の小川真由美さんにドキドキ

 

雷蔵さんの婚約者役の小川真由美さんが

キレイで私はドキドキしてしまいました

 

軍隊のお話ですから男性の出演者が

多いなか見事な花を添えてくれました

 

婚約者である雷蔵さんを想いますが

情熱的にならず抑えた演技で

クールなサスペンス劇に合わせていました

 

市川雷蔵さんと小川真由美さんのラブシーン)

 

この映画のエピソード

➀この映画の公開で中野学校が世に知られた

 

この映画が公開されると

市川雷蔵さんや加藤大介さんらの

出演者の演技のリアルさもあって

大評判となったそうで

中野学校の存在も世間に知られることに

なったそうです

 

そのリアルさが出るのに一役買ったのは

中野学校の卒業生がアドバイザーとして

映画の製作に携わったからだそうで

卒業生たちもこの映画を見たようです

 

斎藤充功著『証言 陸軍中野学校

卒業生たちの追想』を参照)

 

雷蔵さんが小川真由美さんに抱いた印象

 

雷蔵さんがこの映画で小蒲由美さんと

共演して際には、彼女は鼻が立派で

キスシーンの際に鼻がかち合って

困ってしまうほどだったのだそう

 

小川さんに抱いた印象としては

悪女役で売り出してきた女優という

ごく世間並みのことしか知らなかったが

(中略)悪女女優などにはとても見えず

逆にしっとりとした感じを持った人だったと

自著『雷蔵雷蔵を語る』で回想しています

 

(写真左より増村保造監督、市川雷蔵さん、小川真由美さん)

 

陸軍中野学校について

 

最後に陸軍中野学校とは

どのような学校だったのかを

簡単に書きます

 

陸軍中野学校は1938年に

「防諜研究所」が開校したことに始まり

すぐに名称が「後方勤務要員養成所」となり

1940年に「陸軍中野学校」と再度名称を変え

誕生した日本で最初のインテリジェンスの

専門学校として1945年の敗戦まで

存続したそうです

 

教育内容は映画をご覧いただくとして

開校時には19人しか入学しなかった生徒も

敗戦による廃校までに2300人あまりの

学生を輩出し、「秘密工作員」として

世界各国に派遣されて任務を遂行しました

 

しかし敗戦を迎えると各地で降伏して

捕虜となり、アジアや中国では処刑される

卒業生も出て、ソ連軍の捕虜となった

卒業生はシベリアに抑留され

死亡する人も出たそうです

 

(山本武利著『陸軍中野学校』を参照)

 

しかし全員が死亡したわけではなく

生死の確認が取れず正確な数字では

ないそうなのですが、戦死者は

289名とのこと

 

生き残って帰国した卒業生たちは

入学前に働いていた職場に復職したり

地元に帰って農業に従事する人

お店を出した人など、戦後それぞれの

人生を歩まれたそうです

 

斎藤充功著『証言 陸軍中野学校

卒業生たちの追想』を参照)

 

というわけで急遽予定を変更して

今日が命日の市川雷蔵さんを追悼すべく

主演の「陸軍中野学校」を

紹介したわけですが

「学校で学べない歴史映画」という

シリーズは以前から構想としてありまして

今後第2弾以降もやる予定です

 

また今日は石原裕次郎さんの命日でもあり

来年は裕次郎さんのことを書きます

 

次回は「冷房なしで過ごせた昭和の夏映画」

第2弾です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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