昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

開催地がまるで小津ワールド!感激した小津安二郎監督の展覧会

 

小津安二郎監督の展覧会に行った話

 

先月の某日、今年生誕120周年を迎えた

世界的な映画監督・小津安二郎監督の展覧会

小津安二郎の審美眼」を見に

茅ヶ崎市美術館に行ってきた感想を書きます

 

(美術館の入口にて)

 

先月はまだ日中が暑い日が多く

小津監督の展覧会というより

サザンの聖地、若大将こと加山雄三さんの

育った場所へ来たという感じでした(笑)

 

しかし開催場所である美術館は俳優・

川上音二郎の別荘「萬松園」があり

そこへ入って行くと緑が多く静かな環境で

明治時代に作られた別荘ということで

レトロな趣があってとてもいい雰囲気で

まるで小津映画の世界に入り込んだような

感覚になり、茅ヶ崎にたどり着くまでの

喧騒を忘れさせてくれました

 

笠智衆さんや原節子さんがいまにも歩いてきそうな道もありました)

 

ちなみに川上音二郎さんとは

オッペケペー節というので有名な方です

 


www.youtube.com

 

そもそもどうして開催地が茅ヶ崎なの?

 

とお思いになった方もいらっしゃるでしょう

 

実は小津監督は脚本家の野田高梧さんと一緒に

茅ヶ崎館という旅館で脚本を書いていたことがあり

今年のカンヌ映画祭で4K修復版が上映された

「長屋紳士録」という作品は茅ヶ崎が舞台

また池部良さんと岸恵子さんが主演の「早春」も

茅ヶ崎ロケが敢行されました

 

松竹の撮影所が東京の蒲田から

神奈川の大船に移ったことで

茅ヶ崎館は松竹の監督たちの脚本執筆の

格好の仕事場となり、小津監督以外にも

新藤兼人監督もあの原節子さん主演の

「お嬢さん乾杯」(1949年)や

安城家の舞踏会」(1947)の脚本を

茅ヶ崎館で書き上げたそうです

 

茅ヶ崎は小津監督のゆかりの地の1つであり

多くの日本映画の名作が生まれた場所なのです

 

(緑が多くて癒されました)

 

展示品について

➀ポスター・絵画

 

続いて展示品についてですが

各国の小津映画のポスターがあり

先のカンヌ映画祭で上映され

実際に映画祭の会場で貼られていた

「長屋紳士録」のポスターもありました

 

あんな国やこんな遠い国まで

上映されていたんだなぁと

改めて小津作品の持つ力を

認識させられました

 

もちろん日本国内で封切り時に

作られて貼られていたポスターも

ありましたし、プレスシートなど

宣伝資料も展示されていました

 

例えばこれですね

 

 

これは私が所有する「東京物語」の

プレスシートなのですが復刻したものです

それが展覧会では実物が飾ってあったのです!

 

東京物語」以外の作品もありましたよ

 

それから小津映画の劇中に登場する

岸田劉生東山魁夷といった画家の絵も

また小津監督自身が書いた絵も

展示されていました

 

岸田劉生東山魁夷といった画家の絵が

すばらしいのは言うまでもありませんが

小津監督が書いた絵も味があって

とてもいいのですよ!

 

絵のタッチも作品によって違いますし

小津監督の多彩さを痛感させられました

 

映画監督には絵心があるのは

とても大切なことなんですよね

どんな構図で撮ったらいいかなど

考えて絵コンテを書くこともありますし

映画は「動く絵」「動く写真」でもありますから

 

②映画で使われた小物

 

それから映画で使われた食器や

おちょこなども展示されていたのですが

映画では何気なく見てしまいますが

じっくりと見てみると

可愛らしい絵が描かれた食器や

芸術的な絵が描かれたものもあり

こんな細かい小道具も拘って選んでいた

と思うと小津監督も黒澤明監督並みに

完璧主義だったのだなぁと感じます

 

食器類の配置にまで拘って

「鎌倉に〇センチ、大船に○センチ」

とどこに置くかまで指導していましたから

 

食器類のデザインや置き場所といった

どういったものがどこに置かれて

実際に映画を撮ったときにどんな画になるか

というところまで気を配っていたとは

小津監督の芸術への"熱い思い"を感じました

 

小津監督自身

 

なんでもないことは流行に従う

重大なことは道徳に従う

芸術のことは自分に従う

 

という言葉を残していますが

まさにその通りに監督のお仕事を

なさっていたんですね

 

③感激した日本監督協会の手拭い

 

以前TVで崔洋一監督が見せてくれた

日本監督協会の手拭いがあったのは

感激してしまいましたね

ああ!これがあのTVで見たときのだ!と

 

その手拭いのロゴは小津監督が

デザインしているんですよ

 

こちらのHPの無限大マークのような

デザインがそうです

 

www.dgj.or.jp

 

④小津映画のローポジション体験コーナー

 

展示の最後に小津映画のローポジションの

位置からスマホで撮影してみましょう!

というコーナーがあり

実際にその低い位置から撮ろうとすると

かなり低い位置で長時間撮影したら

膝などを痛めそうだなと思いました

 

カメラマンの厚田雄春さんの

苦労を少しだけ体験できた感じで

とてもいい試みを美術館は

用意してくださったと思いましたね

 

私が撮影した画像はこちらです

 

 

まさに小津映画の世界ですよね

バーですとかラーメン屋さんや

うなぎ屋さんやとんかつ屋さんに

置いてあるものですよね

 

これで展示会の内容は終わりで

出口から外へ出ると

まだまだ小津ワールドが

感じられるところがありました

 

 

木々の向こう側にいかにも

小津監督と野田高梧さんが

話し合いそうな日本的な家屋が!

 

手前には池もありました

 

 

そして再び小津作品に出てきそうな

道を歩いて美術館を後にしたのでした

 

 

大袈裟かもしれませんが

何だか小津映画の時代に

タイムスリップしたような感覚になって

至福のひとときを過ごすことができました

 

この展覧会を企画してくださった方や

美術館の方に感謝したいですね

 

いい思い出になりました

 

参照:

展覧会「小津安二郎の審美眼」パンフレット

石坂昌三著『小津安二郎茅ヶ崎館』