- 昭和の結婚映画最終回は寅さん第1作目!
- おおまかなストーリー
- 映画の感想
- ➀愛し合う2人が結ばれるストーリーにホロリ
- ②お見合いの席での寅さんの振る舞いに爆笑(笑)
- ③俳優・渥美清さんの凄みを感じさせる
- この映画のエピソード
- ➀マドンナは当初は香川京子さんが務める予定だった!
- ②結婚式のシーンにおいちゃんが出ていない!
- 余談:初代マドンナ・光本幸子さんってどんな人?
※この記事は映画の結末部分まで触れています
ネタバレを回避したい方はネタバレなしの
レビューをご覧になることをおススメします
昭和の結婚映画最終回は寅さん第1作目!
これまで戦前の作品から
3回にわたって紹介してきた
昭和の結婚映画シリース最終回は
何と日本の国民的映画シリーズ
「男はつらいよ」の第1作(1969年、
山田洋次監督)です!
(寅さんこと渥美清さん(左)とマドンナ役の光本幸子さん(右))
普通なら「喜劇映画」として
選出するのが都内名画座さんの
プログラムであったりすると思うのですが
第1作目は立派な結婚映画です!
国民的映画なので「今さら紹介?」と
思われる方もいらっしゃるかと
思いますが、まだ寅さんシリーズを
見たことのないナウなヤングも
いるかと思われますので
今回はどうかご勘弁を
前置きはそれくらいにして
早速ストーリーから
おおまかなストーリー
寅さんこと車寅次郎(渥美清)が
20年ぶりに故郷である東京は葛飾区
柴又に帰ってくる
初めは温かく家族に迎えられるが
妹・さくら(倍賞千恵子)のホテルでの
お見合いの付添人を頼まれ
高級ホテルでの礼儀作法を知らず
次々と無礼な行為を働いてしまい
お見合いの場はぶち壊しとなり
さくらは先方から縁談を断られる
このことを知った家族は
寅さんを激しく責め立てた揚げ句
大喧嘩に発展し、怒った寅さんは
旅に出て行ってしまう
寅さんは旅先の奈良で
柴又で再会した住職・御前様(笠智衆)と
その娘(光本幸子)と偶然出会い
一緒に旅を満喫する
3人で再び柴又に帰るも
また波乱が待っていた
妹・さくらと仲よくしていた
隣の印刷上場の社員との間で
揉め事が起きたのだ
「さくらを職工には嫁にやらない」と
言っていた寅さんを社員の1人である
諏訪博(前田吟)が必死に説得し
博とさくらの結婚を進めることになる
しかしここでもまた寅さんは
かえって2人の結婚の邪魔をしてしまうが
博が直接さくらに想いを伝えたことで
2人は結婚することになる
映画の感想
➀愛し合う2人が結ばれるストーリーにホロリ
私はこういった結婚話に弱くて
「お父さん、お世話になりました
幸せになります」なんていう小津映画に
よくある場面などを目にすると
すぐホロっときてしまうのですよね
この寅さんの第1作目についても
同じです
結婚式のシーンでは思わず
目頭が熱くなりました
②お見合いの席での寅さんの振る舞いに爆笑(笑)
ストーリー紹介でも触れた
さくらのお見合いの席での
寅さんの常識知らずの行動や
振る舞いに笑ってしまいました(笑)
イカリング?のようなものの穴を
覗き込んだり。食べ物を前の人に
飛ばしてしまったり、さらには
例の「お尻の周りはクソだらけ」などの
下品な話をしてしまったり(笑)
③俳優・渥美清さんの凄みを感じさせる
この頃の渥美さんは元気いっぱいで
発声から台詞回しから滑舌の良さまで
もうとにかくすごいです!
お腹から声が出ているようで迫力があり
早口でまくし立てるところは
滑舌がよくはっきりとセリフが聞こえてきて
歯切れの良さもあって心地よかったです
役柄が広くないせいかあまり
偉大な俳優さんとして評価されない
向きもありますがもっと評価されるべきだと
個人的には思います
この映画のエピソード
➀マドンナは当初は香川京子さんが務める予定だった!
何とこの映画のマドンナは当初
香川京子さんが務める予定だったそうです
香川さんによれば、山田監督から「今度、こんな
映画を撮るんだけど出て欲しい」との連絡が
来たのですが、しばらくして、予算の関係で
出演は見送られることになったと連絡が来たそうです
香川さんは「私はそんな高いお金を
いただかなくてもよかったのですけど」と
謙虚に仰っていました
(2014年8月18日放送、BS朝日「熱中世代」を参照)
TVドラマで人気を博したけれども
映画でも当たるかどうか不安だったのでしょうね
製作側としては
しかしこの作品の10年後に「寅次郎春の夢」で
香川さんはマドンナを務めました
②結婚式のシーンにおいちゃんが出ていない!
本作のクライマックスである
博とさくらの結婚式のシーンには
何とおいちゃんが出ていないのだそうです!
これはおいちゃん役の俳優・森川信さんが
当時は売れっ子で結婚式のシーンの
撮影日はスケジュールが合わず
早く撮影を済ませたい製作陣が考えたのが
おいちゃんのスケジュールを待たずに
志村喬さん演じる博の父を登場させて
名スピーチをすることで
観客においちゃんのことを意識させない
ということでした
あなたが愛される理由』を参照)
災い転じて福となる?ではありませんが
名シーン誕生の裏には
そのような事情があったのですね
余談:初代マドンナ・光本幸子さんってどんな人?
この映画で寅さんのマドンナを務めた
光本幸子さんは舞台出身の女優さんで
1950年代は主に新派の舞台で活動し
60年代からTVドラマにも進出するようになり
「たまゆら」に脇役ながらも出演して
お茶の間の人気を集めたそうです
同じ年にはビクターから歌手としても
デビューしました
映画はこの「男はつらいよ」が
初出演でしたが、出演本数は多くはなく
主に舞台とTVで活躍されたそうですが
1974年に明治座の取締役の方との結婚を機に
芸能界を一度は引退しました
しかし1990年代からTVや舞台で復帰し
映画は山田洋次監督の「隠し剣・鬼の爪」
(2004年)などに出演しましたが
2013年に帰らぬ人となりました
(キネマ旬報社『日本映画俳優全集・女優編』参照)
光本さんは最初「映画みたいな
大きな画面に出るなんて」と
出演を渋っていたそうです
しかし「舞台ひと筋の私を
別の世界にいざなってくれた監督には
感謝しています」と山田監督に
恩を感じていらっしゃったようです
(小泉信一監修『渥美清没後20年
寅さんの向こうに』を参照)
光本さんが初代マドンナに選ばれた経緯について
詳しく知りたい方は下記のサイトを
ご参照ください
というわけでここまで4回にわたって
紹介してきた「昭和の結婚」シリーズは
この「男はつらいよ」をもって終わりとします
来月もシリーズ形式で
映画を紹介しますが
2~3候補があってまだ迷っています
ではまた来月