昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

社内恋愛OK!結婚ももちろんOK!な時代のオフィス・ラブコメ!昭和の結婚映画③「最高殊勲夫人」

 

昭和の結婚映画第3弾はモダンなラブコメ映画!

 

成瀬巳喜男監督「禍福」で家制度による

戦前の結婚、小津安二郎監督「麦秋」で

個人の意思が尊重されるようになってきた

終戦直後の結婚を見てきましたが

それに続く第3弾はモダンなラブコメ映画

「最高殊勲夫人」(1959年、増村保造監督)

取り上げます!

 


高度成長期の社内結婚を描いた

活気あふれる当時の雰囲気が

画面いっぱいに感じられる

快作でございます

 

それでは本題へ

 

おおまかなストーリー

 

映画の冒頭、盛大な結婚式が行われている

三原商事の次男と秘書が結ばれたようだ

 

それぞれの兄と姉も社内恋愛で

結婚したらしい

 

そこで次は三男だと、三原家三男の三郎

川口浩)と野々宮家三女の杏子(若尾文子

の2人をくっつけてしまおうという周囲の

画策が始まり、出会った2人は「何が何でも

結婚しないようにしよう」と意気投合するのだった

 

早速その誓いを実行しようと

杏子は「死ぬほど好きな恋人がいる」だとか

「私は純然たるフリーなの。恋人を探すために

入社したの」などと発言すると

社内の男性からたくさんのアプローチを受け

女性社員たちをやきもきさせるように

社内の恋愛模様をかき回すようなことをしてしまう

 

一方の三郎も婚約相手を見つけたりと

行動する

 

一体、杏子と三郎は誰と結婚することになるのか?

 

映画の感想

➀高度成長期の空気感を映したモダンなラブコメ

 

以前に紹介した2作品の結婚映画は

製作年を考えても古風な日本映画でしたが

今回の映画はガラッと時代が変わり

日本がイケイケドンドンだった?

高度成長期に入っており

当時の日本の活気が伝わってくるようで

映画自体もテンポが速くて台詞の量が多く

そのセリフの応酬が矢継ぎ早で

モダンでスピーディな作品に仕上がっています

 

今回の作品は難しいこと考えっこなし!

映画のテンポに身を委ねていれば

楽しめてしまう最高のラブコメです

 

川口浩さん&若尾文子さんの美男美女の

台詞のやり取りも早口ですが

軽妙でお洒落で心地よいです

 

あ、川口浩さんとは中高年の方には

川口浩探検隊の隊長として

広く知られていますよね

 

でも若かりし頃の俳優時代も

2枚目で魅力があります!

 

若尾文子さんは40代の私の姉が

「わかおふみこ」と読みましたが

「わかおあやこ」さんでございます(笑)

 

40代でも昭和に興味がなければ

昭和芸能の知識も通常はこんなものですが

若い方で若尾文子さんをご存知の方が

いらっしゃればそれはもうすごいです!

博士ちゃんに匹敵します!

 

②男女が社内で気楽に終業後のデートの約束をしている!

 

私がこの手の昭和のサラリーマン映画を

見ると必ず驚くのが、業務時間中に

男女が会社の電話でデートの約束をしたり

「君、今夜空いてる?」と気楽に

男性社員が女性社員を誘ったりしている

そんな光景です

 

今回の映画も例外ではありません

 

いまの時代からしたらとてもとても

考えられないことですよね!

 

いまは下記のような「社内恋愛禁止」の

職場も珍しくはありませんからね

 

www.bengo4.com

 

でも私からするとちょっと窮屈すぎる

気がしますね、いまの時代は

 

アイドルの恋愛禁止もそうですけど

百恵ちゃんなんかは恋人宣言を

したのですよ!それでも人気が

落ちることはありませんでした

 

いまは「会いに行けるアイドル」が

コンセプトだから恋愛禁止なのでしょうか?

 

いまの時代に疎い私にはよくわかりませんが…

 

少し話が逸れましたが

昭和の時代はおおらかすぎるかもしれませんが

私は昭和の方がいいですね

映画を見ると微笑ましさすら感じます

 

昭和はセクハラもあって大変な面も

あったかと思いますが

その一面だけを見て昭和を全否定するのは

ちょっと昭和好きの私からすると

残念な気がします

 

社内恋愛禁止!と言いながら

少子化を憂う政府とのギャップに

何だかちぐはぐな感じがしてしまうのは

私だけでしょうか?

 

下の動画のケースなんて可哀想です

これじゃあ少子化が進んでも仕方ないでしょう

 


www.youtube.com

 

時代背景:

昭和は企業がマッチングの役割を果たしていた!

 

1960年代までは見合い結婚だ多数派でしたが

1970年代以降になると「職場婚」が逆転し

結婚の形態の主流派となり

上司が社員の結婚に気を配り

仲人を務めたりもして

職場がいわばマッチングの役割を

果たしていたそうです

 

現代はこの職場婚も減少し

結婚がチームプレーであったのが

いまは個人競技になった

「草食系男子」の言葉の生みの親である

牛窪恵さんが著書『恋愛結婚の終焉』で

指摘しています

実に的を得たうまい表現ですね!

 

たった1人で結婚相手を探すのは

それは難しくなりますよ

 

若い方で自分が結婚できないのは

モテないからだとか気にされる方がいますが

モテは関係ないと思います

それよりも時代の変化の方が大きいでしょう

 

原作者・源氏鶏太さん紹介

 

ここで映画の原作者・源氏鶏太さんを

紹介したいと思います

 

源氏鶏太さん)

 

源氏鶏太さんは今回の映画の原作

『最高殊勲夫人』などのサラリーマン小説を

たくさん書かれていた方で

何年か前から再評価が進んでいます

 

www.chikumashobo.co.jp

 

源氏鶏太さんのおかげで

昭和にオフィス・ラブコメ映画が

たくさん作られました

 

と、だいぶ結婚の話に文字数を

割いてしまいましたが(汗)

今回の「最高殊勲夫人」は

そのほか細かい部分でも面白い

笑えるシーンもあるとびきりお洒落で

娯楽要素満載の映画に仕上がっています

 

楽しい映画をお探しの方はいかがでしょう?

 

昭和の結婚シリーズは

次回が最後になります

 

参照:

阪井裕一郎著『結婚の社会学