昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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愛し合う男女が家制度で引き裂かれる戦前がつらい!昭和の結婚映画➀「禍福」

 

6月はジューンブライドにちなみ昭和の結婚映画!

 

さて今月の映画紹介は

ジューンブライドにちなんで

昭和の結婚を描いた作品を

取り上げていこうと思います

 

お見合い結婚、職場結婚などなど

昭和は長い時代ですから

さまざまな結婚の形態がありました

 

当時の空気感溢れる作品を

紹介していきたいと思いますが

その第1弾は成瀬巳喜男監督の

「禍福」(1937年)です!

 

「禍福」とは普段見かけない言葉ですが

「不幸と幸福」という意味だそうです

 

いったいどのような作品なのでしょうか

そしてどのような結婚を

描いているのでしょうか

 

おおまかなストーリー

 

田豊美(入江たか子)と

東京に出ていて外交官を目指す

皆川慎太郎(高田稔)は

相思相愛の仲の恋愛関係にあり

結婚の約束をして一時帰郷する

 

皆川の実家の父は経済的危機に陥っており

帰郷するや否や持参金2万円を持つ娘との

縁談を勧められ、豊美との結婚は反対される

 

初めは父親に反発した皆川だったが

しぶしぶ見合いだけはしてみると

相手の真山百合恵(竹久千恵子)の

明朗快活な魅力に魅かれ

百合恵との縁談を受け入れて

東京へ帰ると豊美には別れを告げた

豊美は皆川に対して憎らしい気持ちを抱く

 

豊美は生活のために洋裁店で働くが

お店に偶然、皆川の結婚相手である

百合恵が訪れ、知り合いとなる

 

この間、豊美は子どもを出産するため

洋裁店を辞める

皆川との間に子どもができていたのだ

 

出産後、豊美のもとへ百合恵が訪ねてくる

皆川は仕事でフランスに行っており

豊美と子どもの面倒を一緒にみたいと

言うのだったが、豊美はこれを復讐の

機会ととらえて受け入れる

 

皆川が帰国したらどうなるのだろうか

ドロドロとした愛憎劇になるのか

それとも円満にことは解決するのか

 

この後の展開はいかに?

 

映画の感想

➀戦前の結婚の在り方がつらい

 

愛し合っていた恋仲の皆川が豊美を捨て

お見合いの相手と結婚するのが

何ともつらいですねぇ…

豊美は別れ話を切り出されたとき

ボロボロに泣き崩れていましたから

 

皆川は見合い相手を好きになってしまった

と別れ話の弁解として言っていましたが

たとえ好きになっていなくても

この時代のことをを考えると

見合い相手の百合恵との結婚を

選んでいただろうと想像できます

 

それは戦前には「家制度」なるものが

存在していたからです

 

mainichi.jp

 

上のサイトによると、戦前の結婚は

妻が夫の家に入って子どもを産み

夫の家を存続させることが目的だったそうです

 

この映画でも、皆川が父親に豊美との

結婚を反対されるときに

親、兄弟を見捨てて

お前はこの家を潰す気か!」と

父親に怒鳴られるのです

 

自分の都合よりも家の都合を優先する

それが戦前の結婚の在り方でした

 

それにこの時代は家父長制もありました

父親の言うことには絶対に

逆らえなかったでしょう

 

法律でも本人同士が結婚を希望していても

跡取り同士の場合は親の承認が必要でした

 

dot.asahi.com

 

何とも不自由でつらい結婚制度ですねぇ

愛する男女が引き裂かれてしまうなんて…

 

この時代の恋愛結婚はわずか13%程度で

69%がお見合い結婚でした

(下のサイトを参照)

 

toyokeizai.net

 

でも私はこの時代だけがつらいとは

思いません

 

いまの時代は逆に自由すぎて

結婚相談所やマッチングアプリなどで

結婚相手の選択肢があまりにも多く

デートをしても「もっといい人がいるかも」

という気持ちが湧いてしまい

なかなか「この人!」という相手を決められない

ということがあるように思うのです

 

②見合い相手が悪女ではないのがいい

 

お見合い相手が悪女ですとか

魔性の女ではなくとても親切な女性なのが

この映画のいいところだと思います

 

とてもいい女性であるがために

洋裁店で出会っても豊美は

その女性に復讐心を燃やして

罵るといったことができませんでした

 

この方が現実味があるといいますか

悪女だったりすると

いかにも作り物という感じが

出てしまうと思います

 

まぁ平和的でいいですねぇ

 

③この映画ではまだ人々に自由度があった

 

戦前というと暗いイメージが

強いかと思いますが

決してそんなことはなく

この映画では和装の女性もいれば

洋装のモダンガールもいて

男性はみな帽子を被っていて

まるで英国紳士のような雰囲気すらあります

オシャレをそれぞれに楽しんでいるように

見えました

 

またダンスホールがあって

男女がお互いに手を取り合って

レコードから流れてくる音楽に合わせて

踊っているのです

 

別の記事にも書いたかもしれませんが

現代だったらセクハラ問題になって

ダンスなどできないことでしょう

 

女性に指1本触れることはおろか

職場などで気軽に「髪切った?」と男性が女性に

話しかけることすらはばかれるのですから

 

戦前よりいまの日本の方が進歩している

と考えがちかもしれませんが

私は戦前の映画を見ると

いまの方が当時より後退してしまった

部分もあるのではないかと思ってしまいます

 

街並みもキレイでネオンも光っていますし

男女のファッションや

ダンスホールでの踊りなどを見ると

まるで外国のようなところもあります

 

以前、武田鉄矢さんがTV番組で

戦前、戦中、戦後の日本は

まるでそれぞれ別の国みたいだ」という趣旨の

発言をされていたのですが

その通りだなぁと感じます

 

というわけで戦前の結婚や恋愛事情を

描いた映画をまずは取り上げましたが

今回の映画はその戦前の結婚の形態を

知るには格好の作品だと思います

 

次回から少しずつ時代が変わっていきます

 

どんな作品が出てくるでしょうか

 

読んでくださる方がいらっしゃれば

とても嬉しいです

 

 

 

 

 

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