昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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昭和女優ファイル日活編④渡辺美佐子(後編)~卓越した演技力でより美しく魅せる女優~

 

それでは前編に引き続き

後編に入ります

 

shouwatorajirou.com

 

ここではいつもの通り

渡辺美佐子さんの女優としての

魅力や人としての魅力

そしてお気に入りの作品などについて

書いていきたいと思います

 

渡辺美佐子さんの魅力(女優として)

 

(2017年に撮影された渡辺美佐子さん。雑誌「ゆうゆう」2017年11月号)

 

演技力で美しく見せることのできる女優さん

 

渡辺美佐子さんは美人女優だとか

スターだとかという風には言われていない

女優さんなのにとても魅力的です

どうしてなのでしょう

 

以前SNSで「どこが好きなの?」

と言われたことがあります(笑)

ちょっと失礼な!と思いつつ(笑)

私には美人に思えるのですよね

 

演劇評論家の戸坂康二さんによると

渡辺美佐子さんは

つよく、はげしく、美しく自分を見せる

素質を持っている」と著書で評しています

 

(雑誌「キネマ旬報」2022年3月号を参照)

 

なるほど!演技力で美しく見せることができる

そんな女優さんなのか!なるほど!

と私は思わず膝を打ちました

 

確かに今村昌平監督の「果しなき欲望」

という映画は監督はグラマーな女優さん

Tさん(この方もなかなか可愛らしいです)

で撮るつもりがグラマーではない美佐子さんが

悪女のイメージもない彼女が

悪女を妖艶にカッコよく美しく

演じられていて私は魅了されました

演技賞を受賞されたのも納得の演技でした

 

長年の活躍は時代のおかげ(美佐子さん談)

 

美佐子さんは自身のことを

以下のように語っています

 

「私、恵まれていたんです

新劇は一番華やかな頃だったし

映画はもっとも元気な時代

テレビは草創期の活気にあふれていた

それぞれのいい時期に仕事を

することができました

いまの時代だったら、私

全然ダメだったと思うんですよ

別にスタイルも良くないし

美人でもないし、ただ当時は

ちょっと個性的みたいな感じに

とらえてもらえたのね

時代が味方してくれた」

 

(雑誌「婦人公論」2022年7月号より引用)

 

上記の「美人ではない」はそんなことはない

と思うのですが「時代が味方してくれた」は

その通りだなと思います

 

いまの時代、イケメン、イケメンと

上っ面の魅力だけで実力は十分じゃないのに

すぐに主役に抜擢されたりします

 

その「イケメン」という見た目の魅力は

若さが失われれば衰え

すぐに若いイケメンに取って代わられます

 

歳を重ねても俳優さんとして活躍するには

役者として演技力を磨く稽古や経験も

大事だと思いますがそれ以外の自分磨きが

内面から滲み出て「アジ」のある

役者さんになって長期の活躍につながる

と私は思っています

 

ベテランの俳優さんは読書家の方が

非常に多いです

読書は人間形成に役立つと

よく言われますしね

 

渡辺美佐子さんも大の読書家で

本好きの人と会うと嬉しくなり

「よかったら読んで」と貸してしまい

「美佐子文庫」と呼ばれているそう

この内面磨きが美佐子さんが長年活躍できた

要因の一つだと思います

 

(雑誌「ゆうゆう」2017年11月号)

 

細部までこだわるプロ意識の高さ

 

渡辺美佐子さんの映画デビュー作である

今井正監督の「ひめゆりの塔」で

美佐子さんは自分のシーンを撮り終えて

ラッシュを見た際に何か違うと

違和感を抱きました

 

よく考えるとそれは顔が

ぽっちゃりしていることでした

 

美佐子さんはひめゆり学徒隊の女の子たちが

そんなぽっちゃりしているわけはない

餓えで苦しんでいたはずだと考え

それから1週間は醤油を水で薄めたものを

飲むだけという"断食"をして

目のあたりがへこんできて

再度同じシーンを撮って

監督から「目がよかったね」と

褒められたそうです

 

まだ俳優座養成所の身分で

初の映画出演作品でここまで自分に

こだわるというのはすごいと思います

 

(雑誌「キネマ旬報」2022年3月上旬号を参照)

 

渡辺美佐子さんの魅力(人として)

 

 

裏方さんの仕事にも感謝できる人柄

 

また「ひめゆりの塔」の話ですが

初めての映画撮影の現場で

上から何か顔にポタっと落ちてきて

何だろうと思ったら照明さんの

汗だったのです

 

あぁこのような方たちが大勢いて

現場を支えてくださっているから

私は仕事ができるのだと実感したそうです

 

これは女優さんという華やかな職業だけでなく

いまを生きる私たちも仕事場でも

忘れてはいけない心がけだと思います

 

過去の職場を思い返してみても

掃除をする方や仕事に必要なものを

トラックで届けてくださる方

そういった方がいるおかげで

私は仕事ができていました

そういった方の中には障害者の方も

いらっしゃいました

 

いまは「ハイスぺ」などと

仕事の種類に序列をつける風潮がありますが

私は好ましいとは思いません

どんなお仕事も尊いものです

 

裏方さんにも感謝の気持ちが持てる

美佐子さんは素敵な方だと思います

 

渡辺美佐子さんの出演作でのお気に入り

 

➀映画「果しなき欲望」

これはもうすでに書いたので

見どころなどは省略します

 

②映画「真田風雲録」

これは美佐子さんの色っぽい魅力が

堪能できますね

 

③映画「帰郷」

これは吉永小百合さんが主演なのですが

まだ若々しい小百合さんに対して

美佐子さんは大人の女性の魅力で

存在感を発揮しています

 

④映画「誰がために憲法はある」

これはドキュメンタリー作品ですが

日本国憲法の勉強にもなりますし

朗読劇の様子なども出てきて

この仕事にかける美佐子さんの思いも

知ることのできる作品です

 

⑤TVドラマ「ムー」ムー一族

このドラマでは美佐子さんは

郷ひろみさんのお母さんの役を

演っているのですが

その「お母さん感」がすごくいいのです!

 

郷ひろみさんと樹木希林さんの

掛け合いも面白いです

 

というわけでここまで長々と

渡辺美佐子さんの魅力や

人となりについて書いてきましたが

いかがだったでしょうか

 

私は仕事に対する姿勢

裏方さんへの感謝

読書を通した内面磨きが

美佐子さんという女優さんを形成し

映画、TV、舞台という3分野をこなすことで

相乗効果で演技力が磨かれ

これだけ長い期間必要とされ

活躍できたのでは?と思っています

 

舞台業からは退きましたが

TVや映画、朗読劇は続けるそうなので

ぜひとも頑張っていただきたいです

 

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