昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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昭和女優ファイル日活編③月丘夢路(後編)~中年女性の魅力で輝いた戦後日活女優~

 

前編に引き続き

月丘夢路さん後編に入ります

 

shouwatorajirou.com

 

ここでは月丘さんの女優さんとしての

魅力や功績に迫るほか

人としての魅力も書いていきたいのですが

私はまだそこまでたくさんの

月丘さんの作品を見ているわけではないので

現時点で書けることを書いていきたいと

思っています

 

月丘夢路さんの魅力(女優さんとして)

 

 

中年女性の魅力を日活で遺憾なく発揮した

 

月丘さんの魅力といったら

何といっても中年の女性の色気などを

発揮したことだと思います

 

1957年にはズバリ「マダム」という

タイトルの映画まであるくらいですし

三島由紀夫さんの「美徳のよろめき」の

映画化作品でも抜擢されるくらいですから

 

といっても私は両作とも未見なのですが

お写真を見るだけでもキレイだなぁと

思いますし何といっても

乳がんを患った実在した女流歌人を演じた

「乳房よ永遠なれ」での演技は

月丘さん以外考えられないくらい

というくらいのハマり役だと思いました

 

病気と闘いながらも病床で歌を書く

歌人をときに官能的に(といっても上品)

演じられていてドキッとするほどでした

 

これはすごくいい映画です

監督はあの田中絹代さんで

昨年フランスでも上映されました

 

劇中に出てくる歌もよくて

歌集を読んでみたいなと思っています

 

今でも「女性は若いモンに限る」だなんて

ちょっと女性蔑視?的な言葉がありますが

最近は中年になっても魅力的な

芸能人の方がたくさんいらっしゃいますし

私なんて昭和の芸能人が好きですから

中年の方はもちろん今では故人だったり(笑)

もう高齢者の方もいます

 

女性の魅力に年齢は関係ないと思います

(でも年齢を気にされる女性が

非常に多いのですよね…勿体ないです

まだ昔の価値観に縛られているのでしょうか)

 

渡米して修行するほどの向上心!

 

前編のプロフィールでも書いているのですが

舞踊や声楽を勉強するために

アメリカに渡ったのです!

しかも2か月のつもりがもう1年滞在して

妹の千秋さんを先に返して修行に励んだのです

 

宝塚でトップスターになり

映画界に入ってもまだ勉強しようという

その飽くなき向上心は

まるでハリウッドスターのようです

 

とはいってもまだこのときの月丘さんは

役に恵まれなかった不遇の時代で

それを打開するために行ったのでしょうかね

ちょっと真相は詳しくはわからないですが

それにしてもすごいです

 

月丘夢路さんの功績

 

あの仲代達矢さんを映画界に引き入れた!

 

月丘さんは映画史上で重要な

功績を残しています

それはあの仲代達矢さんを

映画界に引き入れたことです!

 

仲代さんが出演していた「幽霊」

という舞台を見て

それまで見たことのない独特の個性に

惚れ込んで映画「火の鳥」で自らの

相手役に抜擢したのです

 

もし月丘さんが見出していなかったら

無名塾」もなく役所広司さんも

俳優として出てこなかったかもしれません

ということを考えると

これは本当にすごいことです

月丘さんに拍手!

 

(映画「火の鳥」より。雑誌「映画ファン」1956年5月号より)

 

月丘夢路さんの魅力(人として)

 

(着物姿の月丘さん。雑誌「映画ファン」1956年10月号より)

 

心が柔らかく気配りのきくおとなしい女性

 

ここでは実際に月丘さんにお会いした

評論家さんの力を借ります

 

その評論家さんによると

月丘さんは女優時代

淡島千景さんのライバル

とされていたそうで

月丘さんとはそれほど頻繁に

会っていないにもかかわらず

暑中見舞いと新年の挨拶を

毎年欠かさず送ってくれたそうです

 

随分と付き合いがあった

気のいい女優さんと言われていた人でも

用が無くなると年賀状を送らなくなる

そんな女優さんも珍しくなかったそう

 

一方、淡島千景さんは覇気と力で

女優業を押し上げていく「力の人」で

月丘さんは四方に気を配って

人生をすすめていく「心の人」だと

評論家さんは2人を評しています

 

さらに月丘さんは柔らかい性格を

輝かせた奥様であると書かれ

さらに淡島さんのようなタイプの方が

女優としてやり易く

月丘さんのようなおとなしいタイプは

難しいのではないかとも書かれています

 

(雑誌「近代映画」1955年6月号の淡島さん・月丘さん比較記事を参照)

 

これは現実の社会でもそうですよね

学校にしろ会社にしろ

おとなしいタイプの人は評価されにくいですよね

 

そういう性格の持ち主なのに

宝塚でも映画界でも成功されたというのは

同じくおとなしい性格の私などは

勇気が出ますね

 

あとは前述のアメリカ修行に出る行動力を

考えると「おとなしい」は意外ですよね

 

でも俳優さんにはそういうタイプの人も多くて

ハリウッド女優のイングリッド・バーグマン

おとなしい性格だったのにイタリアの監督と

仕事がしたいからと駆け落ちして

ハリウッドからイタリアへわたり

当時のアメリカで大バッシングを受けましたが

おとなしくても内面に燃え滾るような

情熱的なものを持っていて

それがマグマのように飛び出す

ということはあって

月丘さんにもそういう内に秘める情熱が

あったのかな?と想像します

 

とここまで月丘さんについて

評論家さんの力を借りながらも

書いてきましたがいかがでしょう?

私には意外なことが多かったです

 

東京の国立映画アーカイブさんでは2023年

月丘夢路さんと旦那さんで映画監督の

井上梅次監督の展覧会が行われました

 

www.nfaj.go.jp

 

上映会も行われたようです

 

私、この展覧会と上映会を

見に行きたかったのですが

行けませんでした(泣)

 

月丘さんと井上監督の本でも

読めたらいいなと思っています

 

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