「三船プロ編」というプロダクションの枠組みでのシリーズ
これまで昭和女優・俳優ファイルと題して
さまざまな方のプロフィールを紹介したり
私なりに感じる魅力などを綴ってきましたが
映画会社ではなく「三船プロ編」という
プロダクション名として分類されているのが
時代を象徴していますね
そう、今回取り上げる竹下景子さんが
人気を博した時代は日本映画は衰退し
女優さんは映画だけではやっていけない
そんな時代になったのです
というような前置きはさておき
本題に入ります
竹下景子プロフィール
女優志望ではないのに演劇部に入るとすぐに転機が訪れる
竹下景子は1953年9月15日
名古屋市東区に生まれた
1969年に南山中学を卒業して南山高校に進む
内向的な性格を直すために演劇部に入るが
将来は女優になりたいとは考えていなかった
しかしラジオ番組「ミッドナイト東海」主催の
イベントに出かけたところパーソナリティの
天野鎮雄に演劇部に所属していることを話すと
NHK名古屋放送局のドラマ収録の見学に誘われる
見学に行くとスタッフから誘わるがままに
NHK名古屋制作の「中学生群像」に2年間出演した
(TVドラマ「中学生群像」に出演していた16歳のころ)
三船プロに入社
1972年に高校を卒業して
三船プロはグレース’73のキャッチフレーズで売り出し
フジ「朱鷲の墓」に出演し
不二家とのCM契約を結ぶなど
順風満帆のスタートを切った
ヒロイン弥生に抜擢にされ茶の間での
人気も高まっていった
(1970年代にイメージキャラクターを務めた北陸銀行のポスター用の写真)
ついに映画デビューを果たす
1975年には東映「日本任侠道・激突編」で
父親の借金返済のために女郎屋に売られる娘に
扮して映画デビューを飾る
続く黒木和雄監督「祭りの準備」で
憧れる女性を熱演
1976年には松竹「俺たちの時」に助演し
翌年に大学を卒業
同年、野村孝監督「雨のめぐり逢い」で
事故のために失明したヒロインに扮して
「人間の証明」に助演
お嫁さんにしたい女優No.1と呼ばれる
同年3月にTBS「すばらしき仲間」で
荒船清十郎代議士、稲葉修代議士と対談
このときに荒船代議士が「うちの息子の嫁にしたい」
と発言して以来花嫁候補ナンバーワンと
と呼ばれるようになり人気も急上昇する
以後フジ「女の河」テレビ朝日「天の花と実」
などに出演して注目され
1977年度製作者協会新人賞を受賞
1978年には三船プロ創立十五周年記念映画
「犬笛」で暴力団の手先に使われる女医を演じた
UFOを見たため血が青色に変わったヒロインに扮し
勝野洋と共演
日本テレビの人気タレント調査で1位となるなど
テレビでの人気はさらに高まったが
映画は企画に恵まれず
その後は「ピーマン80」「英雄たちの応援歌」
「配達されない三通の手紙」(1979年)に
脇役で出演した
テレビはほかに日本テレビ「手紙」(1975年)
「愛の嵐」(1977年)「姿三四郎」(1978年)
「東京大地震M8.1」(1980年)
など多数
クイズ番組でもお茶の間の人気者に
TVではドラマ以外にもクイズ番組
「クイズダービー」(1976年から1992年)で
レギュラー回答者として出演し
三択問題が得意だったことから
「三択の女王」と呼ばれ人気を博す
放送当時は番組内で出場者が問題に正解を
出してくれそうな回答者に点数を賭ける際の
「○○さんに1000点」という言葉が流行した
1970~80年代にはレコードも発売
1970~80年代にかけては歌手活動もしており
数枚のレコードを出している
(1978年のデビューシングル「結婚してもいいですか」)
寅さんのマドンナ役を3度務めて女優としての魅力を開花
シリーズのマドンナ役に3作起用され
持ち前の清楚な魅力を遺憾なく発揮し
ようやく代表作と言える映画への出演が叶った
ほかに山田洋次監督の「学校」(1993年)でも
夜間中学の教師役を好演している
三船プロから独立し舞台に進出
1980年には三船プロから独立
下女に扮し替え玉の悲痛さを切々と演じて好評となる
舞台業は現在も精力的に出演しており
2023年には6月に本多劇場「ジン・ゲーム」
10月には「アカシアの雨が降る時」の
公演が控えている
(筆者は竹下さん会いたさに遠方から駆け付け観劇して感激しました笑)
国内外で社会貢献活動に取り組む
また近年は社会貢献活動にも力を入れている
2023年1月には自らが名誉館長を務める
神戸市の図書館で阪神・淡路大震災の
詩の朗読会を実施
2005年からは国連世界食糧計画(WFP)の
活動に携わり、2010年には親善大使に就任
世界の食糧危機撲滅のために食糧不足に悩む国に
「世界の問題は他人事ではない」
との信念のもと支援活動を行っている
現地で学校給食支援などを続けている
祝・古希!
2023年9月15に70歳の誕生日を迎えた
後編へと続きます
参照:
キネマ旬報社『日本映画俳優全集・女優編』
雑誌「週刊現代」2022年12月31/1月7日号