昭和寅次郎の昭和レトロブログ

昭和を知らない世代による昭和レトロ、昭和芸能のブログです!

戦前は暗い?イメージを覆した曲「一杯のコーヒーから」

 

第一回目は戦前歌謡!

 

さて第1回目のブログ記事です

取り上げるのは霧島昇さんと

ミス・コロムビアが1939年(昭和14年)に発表した

「一杯のコーヒーから」という歌

1939年?そう、戦前の昭和歌謡です

 

 

古~い(笑)とか古っ(笑)といった

嘲笑にも似た笑いが聞こえてきそうですが

取り上げようと思ったのは

戦前の時代は昨今の昭和歌謡ブームや

また映画の分野でもSNS

「クラシック映画アカウント」を名乗る場所でも

何かと見過ごされがちな時代で

でもとても重要な時代だからです

 

戦前は暗い?

 

どうして昭和の時代の中で

戦前はスルーされてしまう傾向があるのでしょう?

1941年に始まった太平洋戦争へとつながる

時代だったから臭いものには蓋ならぬ

「暗い時代には蓋」といった感じなのでしょうか

 

モダンでお洒落な曲調で暗いイメージが払拭!

 

かくいう私自身も「一杯のコーヒーから」や

数々の戦前の日本映画に出会うまでは

戦前に対してほぼ「暗い」イメージのみ

世間一般?と同じものを抱いていました

 

しかし戦前の映画を見て行くうちに

戦前の歌謡曲、流行歌にも興味が湧き

聴いてみて上記に書いてきたような

「暗い」イメージを払拭してくれた1曲が

「一杯のコーヒーから」という曲でした

 

ではまず曲を聴いていただきましょう

 

www.youtube.com

 

どうでしょうか?

ご存知の方にとっては懐メロ?なのでしょうが

私のような昭和を知らない世代からすると

まるで新曲を聴くような新鮮さと

驚きとがあります

 

戦前歌謡ならではのザーッという

ノイズがあることを除けば

(このノイズもまた昭和好きの私からすると

堪らない魅力なのですけどね笑)

戦前の楽曲とは思えないような作りです

 

Wikipediaを覗くと

「ジャズ調」などと書かれていますが

ジャズに疎い私にはその点はわかりませんが

親しみやすく覚えやすい

思わ口ずさみたくなる軽やかなメロディー

モダンでどこか洋風でお洒落な曲調が

聴く人を昭和のレトロな喫茶店へと

誘ってくれそうな感じがします

 

私などはこの曲を聴く
レトロな喫茶店に行きたくなります

店内に流れていたら何と素敵でしょう!

と夢想します

 

歌詞には横文字が!

 

それから歌詞を見てみますと

横文字がたくさん出てくることに

驚かされます

 

歌詞の一部を紹介します

 

一杯のコーヒーから

モカの姫君 ジャバ娘

歌は南のセレナーデ

あなたと二人朗らかに

肩を並べて歌いましょ

 

モカにジャバにセレナーデ

さらに3番には「赤い模様のアラベスク

というフレーズも出てきます

 

戦前という時代に

これだけカタカナが出てくるとは

驚かされるばかりです

 

なぜカタカナに驚くかですって?

それは学校の歴史教育の影響

いわゆる「英語(敵性語)禁止」です

 

野球をするときにストライクは「よし」

ボールは「ダメ」と

英語の使用を禁止されていたと

学校で教わったり

映画やドラマなどの戦時中の場面で

そのような描写をご覧になったことのある方は

多いのではないでしょうか

 

敵性語禁止について調べてみますと

1937年(昭和12年)の日中戦争をきっかけに

敵国となったアメリカやイギリスの言語

つまり英語を使うべきではないという気運や

運動が高まり

完全に敵国となった1941年(昭和16年)の

あの太平洋戦争から運動がさらに高まったそう

 

敵性語は法律では禁止されていなかった!

 

しかし!リサーチの結果、驚きの事実が!

敵性語はマスコミや大政翼賛会による自主的な規制で

法律などで禁止されてはいなかったのだそう!

一部ではカタカナ語が使われていたこともあったのだとか

例えば松下電器は「ナショナル」の名で

戦時中も製品を販売していた事実もあるそう

中日新聞の記事を参照)

 

これはビックリですね!

禁止されていたものとずっと思いこんでいました

 

敵性語規制はコロナ禍にも似ている?

 

ん?でもこれは今の時代にも通じるものが

どこかあると思いませんか?

私が想起したのはコロナ禍のマスク着用です

マスクは着用を求められているだけであって

着用を義務付ける法律は特にありませんでしたよね?

日本はメディア等による呼びかけ

同調圧力に昔から弱かったのでしょうか

 

とお話が一気に現代に飛んでしまいましたが

日本人の精神性?国民性?は

昔から変わっていないようですね

 

でも変わっているところもありますね

それは現代では横文字

英語を使いすぎるところです

 

日本語でも通じるのにわざわざ「リスペクト」だとか使ったり

コロナ禍でも「ソーシャルディスタンス」など

英語のままで使われた言葉が

いくつもありましたね

 

時代の移り変わっても変わらない部分と

変わった部分と両方とがあるのですね~

 

ちょっと話が脇道に逸れすぎましたので

話を歌の方に戻します

 

当初はビールの歌のつもりだった?

 

「一杯のコーヒーから」は作詞が藤浦洸さんで

作曲はあの服部良一さん!

青い山脈」や「銀座カンカン娘」

さらに2023年の後期の朝の連続テレビ小説

題材として決定した、歌手の笠置シヅ子さんの

「東京ブギウギ」などのヒット曲を手掛けた

国民栄誉賞を受賞した作曲家さんですね!

 

そういえば国民栄誉賞というと

最近は作曲家さんですとか

芸術・文化方面の方の受賞者がいないですね

いまの政治家の先生たちには

芸術・文化への理解がないのでしょうか

嗚呼…

 

という愚痴は置いておきまして

この曲にはちょっとしたエピソードがあります

 

霧島昇さんのCDの解説によると

先に曲を作った服部良一さんが

「一杯のビール」で始めてほしいと

藤浦洸さんに注文を出したそうなのです

服部さんはお酒が好きなビール党だったため

そのような注文をつけたのだと思いますが

お酒の飲めない藤浦洸さんは

「ビール」から「コーヒー」に変更したのだとか

 

これは藤浦洸さんがいいお仕事をしたと思います

このお洒落な楽曲にビールは

ちょっと似合わない気がするのです

昭和歌謡にはお酒の歌が多いですが

とりわけ演歌に多い印象がありまして

やはりこの曲にはちょっと…

 

またお茶でもイマイチです

お茶では和風な楽曲でないと似合わない(笑)

紅茶ならまだ合いそうな気がしますが

横文字が出てくる歌詞のなかでは

何だか浮いてしまいそうです

やはりコーヒーがいちばん似つかわしいですね!

 

しかしこれはあくまでも私個人の意見です

解説の方は詞はコーヒーの方が合うけれども

メロディにはビールの方がしっくりくると

そんな風に書かれているのです

 

人によって感じ方はそれぞれ

どのように解釈しようと自由

それもまた歌謡曲の魅力だと思います

 

さて第一回目の題材として

「一杯のコーヒーから」を紹介しましたが

いかがだったでしょうか

 

「懐かしい」「新鮮」など

感じ方は人それぞれだと思いますが

私のような昭和を知らない世代

「戦前は暗い」というイメージがあった

そんな人間からすると

何とも驚きに満ちた楽曲なのです

 

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