昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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戦中のことだと笑えない現代に通じる納税ソング!古関裕而さん作曲「納税奉公の歌(仰ぐ御稜威の)」

 

国民負担率が高い現代にピッタリくる戦時歌謡

 

近年は消費税や社会保障費の高さ

それに追い打ちをかけるように

物価高が止まらず国民の負担は大きく

それに比べて非正規雇用の増加などで

給料が上がらず生活苦にあえいでいる

国民が多いかと思います

 

そんな現代の日本にピッタリくる

昭和の歌があるのです!

朝ドラ「エール」で脚光を浴びた

作曲家・古関裕而さんが手掛け

藤山一郎さんとコロムビア合唱団が歌った

納税奉公の歌(仰ぐ御稜威の)」です!

 

 



戦時歌謡は日本にかつてこのような

時代があった、戦争があったことを

後世に伝えるために封印しては

ならないという主旨のことを

作詞家の故・なかにし礼さんが

TVで生前に仰っていて

私もその意見に同意していたのですが

歌の内容が内容だけにブログで紹介すると

「この人は右翼なのではないか?」と

誤解されるのではないかと思い

これまで一切触れてきませんでしたが

今回の歌に関しては戦時歌謡のなかでも

取り上げやすいと思って勇気を出しました

(大袈裟でしょうか笑)

 

とはいっても混同されやすい戦時歌謡

軍歌は厳密には違うジャンルなのですが

それはまた別の話

 

さて作曲した古関裕而さんも

自身が手掛けた戦時歌謡を後世に残すことで

戦争の記憶を忘れずに、二度と戦争を

起こさないように、という気持ちを

持っていたそうです

 

(CD「戦時下 日本の歌~愛国の華~」

ライナーノーツ参照)

 

前置きが長くなりましたが

早速歌のお話に移りましょう

まずは歌詞から

 

歌詞を見てみる

 

仰ぐ御稜威の 旗風に

京も興亜の 旭(ひ)が昇る

サッサ大政 翼賛の

意気に燃えたつ 納税で

伸ばせ皇国(みくに)の 底ぢから

 

汗と火華の 勤労に

晴れの作業着(しごとぎ) ひき緊(し)めて

サッサ臣道 実践に

力協(あわ)せた 納税で

背負え銃後の 台どころ

 

笑顔明るい とりいれに

五穀豊かな 里景色

サッサ職域 奉公の

誠捧げた 納税で

拓け花咲く 大アジア

 

新体制に がっちりと

組んだ常会 となり組み

サッサ一億 日本の

備え揺るがぬ 納税で

築け世界の 新秩序

 

いまでは見慣れない

戦時中に多く使われた言葉が

並んでいますね

 

若い方のために一応解説しておきます

 

旗風=旧日本軍の駆逐艦

 

御稜威天皇や神の威光の意味

 

興亜=とはアジア諸国も盛り立てようという意味

満州をはじめ、大東亜共栄圏を発展させていこう

というようなことだと思います

 

皇国天皇の統治する国という意味で

1945年ごろまで日本と同義で用いられる

こともあったそうです

 

臣道臣民が守るべき道徳倫理のことです

 

銃後=銃の後ろと書く通り

戦場から離れた後方という意味です

「銃後の妻」なんていう、戦地に夫を送り

家を守る妻という意味の言葉もよく

用いられましたね

 

常会=国会の会期の1つです

 

楽曲はこちらです

 


www.youtube.com

 

このような内容の歌でも

古関裕而さんらしい心地のよい

清々しい曲調となっていて

歌詞の内容とは違った作りに

仕上がっていますね

 

力強く人々を鼓舞するような

勇ましい楽曲になっていないのが

古関さんらしくていいと思います

 

税の徴収が重くなる現代と重なり怖さすら感じる歌

 

この歌は大蔵省(現・財務省)選定

内務省推薦、文部省紹介の納税奨励の歌で

国家財政が悪化したのは戦争のせいなのに

勤勉に働き税金を払っている国民に向け

真面目に税金を払えという不思議な歌」と

CDの解説文に書いてあるのですが

私は裏金で懐がホクホクでやりたい放題の

政治家が国民にちゃんと税金を納めろ!と

言っている現代に不思議と重なる歌だな

という印象を持っていますし

ちょっと怖さすら感じます(笑)

 

裏金問題で国会議員42名が

不起訴処分になったことは

記憶に新しいですよね

 

www.sponichi.co.jp

 

上の記事ではネット上の怒りの声が

掲載されていますが

確かに真面目に税金を納めるのが

バカバカしくなってきますよね

 

また首相は今年確定申告について

きちんと納税してくださいとの旨を答弁し

国民の反発を招きました

 

hochi.news

 

さらに今月には某議員が

年末調整を廃止し、確定申告を

義務づけたいという主旨の

政策を提案して、またしても

国民の怒りを買いましたね

 

www.asahi.com

 

1940年に現在の税の仕組みが出来上がった

 

実際に戦前には戦費調達のために

増税が続いたそうで

現在の税の仕組みも出来上がり始め

1940年には税制改革が行われ

法人税が誕生したり

源泉徴収制度も導入されました

 

(参照サイト:

https://www.city.kitakyushu.lg.jp/files/000808887.pdf

 

www.zeitax.jp

 

また戦時期には消費増税やたばこの値上げが

何度も実施され、こうした税制改革の整備で

国税総額は1939年の9.4億円から44年度の

117.4億円へと12.5倍になったそうです

 

(参照サイト:

https://core.ac.uk/download/pdf/229771996.pdf

 

太平洋戦争開始の前年に税制改革が

行われたなんて、表題の歌の通りのことが

実際に実行され、奨励され

国は税収を増やしていったのですね!

 

現代とそっくりです!

タモリさんの仰ったとおり

現代は「新しい戦前」で

戦前のような社会に回帰して

いるのでしょうか?

 

戦時中の人々は税負担増をどう感じていたのか?

 

戦時中の人々はここまで書いてきたような

税制改革による税負担増を

どのように感じていたのでしょうか?

 

残念ながら短い時間では

調べられなかったのですが

私の想像では「ぜいたくは敵だ!」

「欲しがりません勝つまでは」

といったスローガンが掲げられ

お国のために尽くすことが

いいことだと教えられてきて

古関裕而さんですら戦時歌謡

作らされることを拒否できなかった

ことを考えると、現代のように

国民が怒るというようなことは

考えにくいと思います

 

最後に

 

表題の納税ソングは

過去のものとは片づけられない

戦時中特有の言葉を現代風に変えれば

現代の納税奨励ソングが

出来上がってしまいそうなほど

よく似ていてゾッとしますね(笑)

 

しかしこのような歌も

戦時中に作られていたことにも

驚かされます

 

ここまで書いてきて思うのはやはり

戦時歌謡は過去の日本には

このような時代があって

繰り返さないように封印せず

聞き継がれていくべき重要な

謡曲の一ジャンルだということですね

古関裕而さんもなかにし礼さんも

仰っていたように

 

機会があれば戦時歌謡

ボチボチ紹介していきます

数は少ないでしょうが