昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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苦労も2人で乗り越えようとする美しい夫婦愛に感激!障害者映画④「名もなく貧しく美しく」

 

障害者映画第4弾は聴覚障害者の映画!

 

前回の「佳人」に続く障害者映画シリーズ

第4弾は聴覚障害者の男女が夫婦になる

という作品「名もなく貧しく美しく

(1961年)です!

 

(手話で会話をする高峰秀子さん(左)と小林桂樹さん(右))

 

監督は今年生誕100年を迎えた女優・

高峰秀子さんの旦那さんの松山善三さん

 

主演は高峰さんと小林桂樹さんです

 

さてどのような映画なのでしょうか

 

おおまかなストーリー

 

ときは太平洋戦争のさなか

アメリカ軍による空襲に遭い

逃げ惑う秋子(高峰秀子)は

子どもに話しかけられても

聴覚障害があるため聴こえない

 

やがて終戦の日を迎えるが

玉音放送もわからない

 

そんなある日秋子は同じ障害を持つ

道夫(小林桂樹)と出会い

プロポーズをされ、初めは断るも

その後承諾し、2人は晴れて夫婦になる

 

2人の間には子どもも生まれ

夫婦生活を営んでいくが

幸せなことばかりではなく

健常者の夫婦が経験する苦労も

障害者同士の夫婦ならではの苦労も

出てくるが、2人はそれらを

どのように乗り越えていくのか

 

 

(食卓で話し合う小林さん・高峰さん夫婦。奥に見えるのが子ども)

映画の感想

➀手話で会話をして字幕が表示されるのが新鮮!

 

映画が高峰さんと小林さんの

2人の場面になると手話で会話が交わされ

手話は普通の観客にはわからないため

日本語字幕が画面に表示されるという

何とも新鮮さを感じます

 

そしてその手話で交わされる会話

特に小林さんの台詞がとてもステキです

特に高峰さんへのプロポーズなんて!

手話のプロポーズなんて初めて見ました

 

それ以外にも夫婦に困難が起きると

弱気になる高峰さんを励ます小林さんの

台詞にグッときます

 

②またしても露骨な障害者差別が…

 

これまで紹介してきた障害者映画と同様

この映画でも主演の2人が耳が聞こえない

ことを利用して嫌な目に遭ったり

生まれてきた子どもが学校で

両親が障害者であることを理由に

からかわれてそれが喧嘩に発展したり…

しかも今では死語となった差別語を

浴びせられるのです

 

障害者の映画を立て続けに見てきて

昭和のよくないところは

障害者差別が露骨で酷いところだな

と思いました

 

私は昭和が好きで好きで堪らないですが

やはりよくないことはよくないですね

昭和をすべて肯定することはできません

 

現在はそれほど差別は露骨ではなく

多少は改善されたのはいいことだと思います

 

しかし露骨ではなくても

まだまだ障害者への差別は

以前として根強く残っていると感じます

 

昭和と現代で変わったところは

健常者のなかで差別的な目で見られたり

する人が出てきたところでしょうか

 

学校ではクラス内で生徒がキャラ分けされ

見た目や性格などで序列ができて

最近では大人の社会でも

「弱者男性」という言葉が出てきて

SNSなどで見下される男性がいるようです

 

どの時代がすばらしいとかいうことはなくて

どの時代にもいいところと悪いところがあり

「昭和が好き」「いまの時代が好き」

というのは好みの問題でしょう

 

総合的に鑑みて

私が好きな時代はやはり「昭和」です(笑)

 

③協力し合う夫婦の姿が尊い

 

障害者同士の夫婦ですから

健常者の夫婦以上に苦労の多い

夫婦生活になるのですが

夫婦がお互いに協力し合って

尊重し合っている姿がとても美しいです

 

映画のなかで小林さんは手話で

あなたは、2人で助け合って生きてゆく

という約束を忘れたのですか?

私たちは助け合ってゆかねばなりません

と高峰さんに訴えかけます

 

これは障害者同士の夫婦だけでなく

健常者であっても大切なことではないでしょうか

 

世の中には夫が退職すると

「週に3回は外出してね」と奥さんが言ったり

コロナ禍では夫がリモートワークになって

家にいることが多くなり

「コロナ離婚」などということもでてきて

あとは最近ネットで「旦那を棄てたい」

という書き込みを見てしまいました

そのときは背筋が凍るような思いがしました

 

お互い好きで結婚したはずなのになぜ?

という疑問を抱くことは多いです

 

それに比べてこの映画の夫婦は

模範的で見ていて気持ちがいいです

 

(小林さん・高峰さん夫婦と原泉さん(右))

 

聴覚障害者の方が困ること

➀自分の障害をいちいち説明しなければならない

 

これは大変ですよね…

障害が目に見えないですからね…

 

②話しかけられても気づかない

 

後ろから話しかけられたときや

病院の待合室で名前を呼ばれても

気がつかないことがあるようです

 

映画でもそのようなシーンがあり

話しかけた人が無視されたと勘違いして

キレるということもありました

 

これもつらいことですよね…

 

聴覚障害は他人事ではない!

 

健常者の方のなかには

聴覚障害など他人事と

考えている方もいるかと思いますが

実はそうではなく

「難聴」になってしまうリスクがあります

 

特に大音量でイヤホンで

音楽を聴いている方は危ないと思います

 

若い方でイヤホンで音漏れがするくらいの

大音量で聴きながらノリノリで

リズムまで取っている方がいて

笑いそうになってしまったことがありますが

将来「難聴」になってしまいますよ~

 

イヤホンはあくまでも適度な音量で

 

聴覚障害者の方に役立つ意外なもの

➀タッチパネル

 

聴覚障害について調べていて

意外だなと感じたのが

タッチパネルがとても

役に立つということです

 

飲食店で料理を注文するときも

また筆談としても使用できます

 

www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp

 

聴覚障害者用アプリ

 

このアプリでは音声の内容を字幕や

手話で見ることができ

このようなアプリで映画鑑賞を

楽しんでいる方もいるそうですよ

 

(金治直美著『指と耳で見る、目と手で聴く

視覚障害聴覚障害のある人の暮らす世界』参照)

 

この映画のエピソード

➀手話の普及に大きく貢献!

 

聴覚障害者のコミュニケーションにおいて

相手の唇の形と動きから意味を読み取って

無理な発音で会話する読唇術の方が

尊重されていたそうなのですが

この映画が評判になると

手話を軽視する傾向が消えて

手話の普及に大きな役割を果たしたそうです

 

(DVD封入の解説を参照)

 

これはすごいですね!

映画の力はバカにできません

映画って本当にいいものですね~

 

というわけで聴覚障害者を扱った映画

名もなく貧しく美しく」の紹介を

この辺りで終わりにしたいと思います

 

次回で障害者映画シリーズは

最終回になります