- 障害者映画第3弾は身体障害者の映画!
- おおまかなストーリー
- 映画の感想
- ➀一途な純愛を描いた美しい映画!
- ②芦川いづみさんの繊細な演技が見事!
- ③一途に芦川さんを想う葉山さんも適役
- 小児麻痺(ポリオ)という病気について
- この映画のエピソード
- ➀芦川さんが監督から「お前でかい」と言われる
- ②小児麻痺の子どもを持つ母親からたくさん手紙が来た
障害者映画第3弾は身体障害者の映画!
障害者映画シリーズは第3弾にして
ようやく身体障害者を扱った作品です!
しかし障害の種類はもう日本ではなくなり
まだ海外では残っているポリオ
日本では昭和の頃、小児麻痺と呼ばれていた
病気です
作品のタイトルは「佳人」(1958年、
滝沢英輔監督)です!
おおまかなストーリー
しげる(葉山良二)は列車のなかで
との思い出を回想していた
つぶらは生まれつき小児麻痺(ポリオ)で
歩けない身体だったが、しげるは
彼女のお人形さんのような可愛らしさに
好意を抱いていて、歩けないけれども
外が見たいだろうとおんぶをして
庭に出たり、乳母車に乗せて外に出たりして
楽しく遊んでいた
やがてしげるは中学に上がり、大学へも進学し
一方のつぶらは女学校に通えなかったが
それでも2人の仲は変わることはなかった
しかしつぶらがお嫁に行くことになり
離れ離れになることになってしまった
しげるもやがて軍隊に召集され
戦争に行くことになった
2人の運命はどうなる?
再会は果たせるのだろうか?
映画の感想
➀一途な純愛を描いた美しい映画!
1人の初恋の人を一途に想い続ける
美しい純愛を穏やかに描写した
何とも美しい宝石のような映画です!
見ていて穏やかで心が安らげる
そんな作品です
映画で葉山良二さんは戦争に行きますが
戦場で芦川さんを想うというような
シーンがないため戦場での殺伐とした
描写もないのが作品をより
穏やかなものにしていると思います
②芦川いづみさんの繊細な演技が見事!
ほぼ座っているか寝ているかの
状態での芦川いづみさんの演技は
触れれば崩れてしまいそうなほど
とても繊細で病気で歩けない
か弱い女性を表情から発声まで
徹底して表現していました
目に涙を浮かべながら
すぐに消えてしまいそうなか細い声
でもセリフはしっかりと聞こえて来る
このような繊細な演技は芦川さんならでは
だなと思いました
これは演技力だけでは出せないなとも
思います
演じる人の持ち味があってこそ
演じられる役柄でしょう
芦川さん以外でこの役ができる
女優さんは誰だろうか?と
少し考えてもパッとすぐには
思いつかないほどのハマり役です
ちなみにタイトルの「佳人」とは
美輪明宏さんによると
「美しいだけでなく上品な趣のある人」
のことだそうです
(雑誌「婦人公論」2023年2月号より)
まさにこの映画の芦川さんに
ピッタリな表現です!
お下げ髪で美しいお顔に少し潤んだ瞳
そして上品な言葉遣い…
もうこの世のものとは思えないほどの
美しさです!
(芦川いづみさんの美しい花嫁姿!)
③一途に芦川さんを想う葉山さんも適役
初恋の人を一途に想い続ける葉山良二さんも
体格は良くとも優男の雰囲気があるので
純情な男性にピッタリです
この役はあまり逞しすぎてもよくない
バリバリの日活アクション俳優では
ちょっと似合わない気がしていまして
葉山さんのような俳優さんが
ちょうどいいなと思います
小児麻痺(ポリオ)という病気について
映画で芦川いづみさんが患っている
小児麻痺(ポリオ)とは
太古の昔からあるポリオウイルスが原因で
罹る病気で、日本では1910年代から流行し
過去最多の患者数を記録したのは
この映画の公開の2年後の1960年で
5606人でした
症状は身体の麻痺と呼吸困難で
歩くためにリハビリをする子どももいました
1955年と1961年にアメリカで
2種のワクチンが開発され
日本では感染者は1960年代半ばごろには
幸いなことにいなくなりましたが
まだ海外では流行している地域もあります
(『感染症と人類の歴史』を参照)
下のサイトによると
ポリオが現在も発生している地域は
主にアフリカの国々に多いのですが
近年は米国や英国などの先進国にも
ウイルスの検出や患者の発生が
報告されており、「もう過去のもの」と
日本も楽観視できるわけではないでしょう
ちょっと怖いですね…
また下のNHKさんの記事によると
戦闘が続くガザ地区では
30万人以上の子どもたちへの
ポリオワクチンの接種が
進められているとのことです
世界的にはまだまだ終わっていない
病気なのですよね
この映画のエピソード
➀芦川さんが監督から「お前でかい」と言われる
この映画で芦川さんは
滝沢英輔監督から
「お前、でかいなあ
なんでそこまで育ったかなあ」と
言われ、「小さくなれる薬は
ないかなあ」と思ったそうです
でも芦川さんはあまり大柄には
不思議と見えないのですよね
そして小さくなれる薬が欲しいなんて
考える芦川さんが何とも可愛らしいです(笑)
②小児麻痺の子どもを持つ母親からたくさん手紙が来た
映画を見た観客のなかで小児麻痺の子どもを
持つ方からたくさんの手紙が届いたそうです
それを読んで芦川さんは泣いてしまったとか
当事者の方々の心を打つとは
芦川さんの演技と映画の出来が
良かったことの証でしょう
いいエピソードですね
ちなみにこの映画は芦川さん自身の
いちばんのお気に入りの映画で
原作を読んだときは泣いてしまったそう
(高崎俊夫・朝倉史郎編
『芦川いづみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』を参照)
芦川さんって涙もろいといいますか
感受性の強い方なのですね
でもそういう方の方が
映画の台本を読んでも原作を読んでも
いろいろなものをそこから汲み取って
演技に活かしてよりいい演技が
できるようになれる気がします
ちなみに芦川いづみさんについては
以前記事を書いていますので
ご興味のある方はそちらをご参照ください
というわけで障害者映画シリーズ第3弾
「佳人」の紹介を終わりにします
次回は第4弾作品を紹介します
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