昭和寅次郎の昭和レトロブログ

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過去に縛られた人たちの"絶体絶命"な人間模様!山口百恵さん主演TVドラマ「赤い絆」

 

BS-TBSで最近放送されていた

山口百恵さん主演のTVドラマ

「赤い」シリーズの1つである

赤い絆」(1977年)を見ました

 

山口百恵さん(左)と国広富之さん(右))

 

以下に感想などを綴っていきます

 

おおまかなストーリー

 

渋谷の街で不良たちとつるむ

渋谷恵子(山口百恵)はある日

グループの連中からボコボコにされ

見知らぬ人の家の前に置き去りにされた

 

翌朝、婚約者と歩いていた青年・伸夫

国広富之)に発見されて助けられる

 

恵子は産みの親ではない両親に

育てられていたが、あるとき

志津子(左幸子)という女性が

自宅を訪ねてくるが、恵子の母と

かつての知り合いとわかると

すぐに飛び出してしまった

 

志津子はかつて赤線で働いていた女性で

恵子の実の母だった

 

この事実を知った恵子は

大きなショックを受ける

 

ある日のこと、志津子の息子の

洋一が不良仲間の争いに入り

ナイフで人を刺そうとするところを

駆け付けた恵子が止めようとすると

ナイフは男の腹を刺してしまった…

 

パトカーのサイレンが聞こえると

不良仲間達全員が逃げ去るも

恵子だけはその場に残り

現行犯逮捕された

 

やがて裁判が行われ

恵子には懲役6か月、執行猶予3年の

判決が下された

 

執行猶予中、恵子は外交官の

伸夫との愛を深め、恋人同士となるが

エリートの青年と不良少女の組み合わせ故

さまざまな妨害が入ってしまう

 

ところが新日本海運の専務・清川が

志津子を使って伸夫と婚約者との

縁談を壊そうとしたり

恵子に自分の養女にならないかと

誘ってきたり、伸夫と恵子を

結びつけようと介入してきた

 

一体何のために清川は深入りするのか

伸夫と恵子は結ばれるのだろうか

 

ドラマの感想

➀不良少女役さえ違和感なく演じる百恵さんのすごさ

 

これまで見てきた「赤いシリーズ」では

百恵さんは裕福な家庭のお嬢さんを

演じたりしていましたが

今回の「赤い絆」では不良少女という

まったく違う階級の女性を演じていますが

違和感なく見事に演じ切っています

 

ほとんど笑わず言葉遣いも不良っぽく

「しけたツラすんじゃねぇよ」などと

突っ張った態度を取るのですが

それがまたカッコいいのです!

 

もともと声質も低いですし

ツッパリソングも歌っていましたからね

 

今回はアクションシーンもあって

それもまたカッコいいです!

 

また百恵さんは通常のアイドルが持つ

明朗快活さだけでなく

さまざまな表情の引き出しを持っています

 

正統派のアイドルが持つ弾ける笑顔から

憂いを帯びた伏し目がちな表情

そして本作のようなツッパリや

怒った表情など実に多彩ですし

どの表情も魅力的で

お顔の造形もキレイで

見る人を引きつける

思わず吸い込まれてしまうような

お顔を持っています

 

どの角度から撮っても

本当にキレイです

 

アップでの演技が求められる

映画やTVドラマに向いています

 

歌の方も楽曲によって上手に

歌い分けられる実力がありますが

演技の方も多彩です

 

私はこのドラマを見ながら

百恵さんって天才だなぁなんて

少々大袈裟なことすら考えました

 

人気アイドルがドラマ出てみました!

という感じではまったくないのです

本気で役にぶつかっています

 

昭和を代表するスターだったことが

頷けますね

 

②外交官と不良少女の恋など普通はあり得ないけど…

 

このドラマを見た方は外交官という

エリート青年と不良少女の恋など

あり得ないと思われる方もいるでしょう

 

しかしそれは製作側もわかっていることで

「伸夫と恵子は住む世界が違い過ぎた」

というナレーションが何度か入ります

 

脚本家さんを含めた製作陣の狙いは

いまだに戦争中までの古いしがらみに

縛られている世の中にメスを

入れたかったからではないかと

推測しています

 

ストーリーでは触れませんでしたが

外交官の伸夫は元華族の家系で

そのような裕福な一家の息子が

元赤線の女との恋など絶対に

許さない!というやり取りが

家庭内で何度もなされます

 

しかし放送された年は1977年

終戦から32年も経っています

憲法華族制度も廃止され

いったいいつまでそのような

古い慣習にとらわれているんだ!

とこのドラマは訴えたいのだと思います

 

だから外交官と不良少女のカップルという

フィクションという形でしか

実現できない設定を通して

古い慣習への反発を

試みていると感じました

 

現実ではできないことを実現できる

それがフィクションの強みだと

私は思っています

 

③世間体や自分の保身を気にしている人たちにもメス!

 

またこのドラマは世間体を

気にしている人たちや社会にも

メスを入れているように思います

 

先の"格差カップル"のことでは

伸夫の婚約者の父は海運会社の社長で

伸夫との結婚を機に政界進出を

目論んでおり、その目的達成のために

恵子に土下座をしてまで

伸夫と別れて欲しいと懇願します

 

また伸夫が恵子と結婚すると

伸夫の外交官としてのキャリアに

傷がつくと妨害を入れられます

 

就職や恋愛、結婚をめぐっては

いまだに世間体を気にする風潮が

あるそうですね

 

現代の若い女性は彼氏や結婚相手は

友達に「いいね!」と言ってもらえる

人を選びたいという承認欲求があると

某漫画家さんが指摘していました

 

④経済成長期にも格差があったことを伝えてくれる

 

1970年代という、日本経済が

右肩上がりで「一億総中流」だった

時代でさえも格差があったことを

このドラマから教わりました

 

不良少女の百恵さんは狭いアパート住まい

一方の外交官・国広富之さんのお家は

とても広くて裕福

 

ただ現在ほどの格差社会では

なかったのだろうと想像します

 

ただ私は当時を生きていない人間なので

あくまでも想像しかできないのですが…

 

⑤戦争の傷跡がいまよりも身近に感じられた?

 

戦争中の出来事に関することが

登場人物からさかんに発せられます

 

空襲の話、赤線の話などなど…

 

山口百恵さんが母親がかつて

働いていた赤線の跡地を

訪ねる場面も出てきます

 

1970年代はまだ体験者が

たくさん生き残っていて

人々の間でその傷跡が

まだくすぶっていたのだなと

感じさせられました

 

現在は体験者がどんどん高齢化し

戦争のことを肌で感じ取る機会が

激減しているとも感じました

 

どう語り継いでいったらいいか

難しい問題ですね…

 

というわけでお正月から

シリアスなドラマの記事で

申し訳ありませんが許してください(笑)

 

今回はこれでおしまいです

 

 

 

 

 

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