前回からの続きです
最終回となる今回は
私が思う京マチ子さんのすごさ
魅力を書いていきたいと思います
京マチ子さんの偉大さと魅力
➀肉体派として国内でスターになれた数少ない例
京マチ子さんは肉体派女として
国内で大女優になった珍しい存在だと思います
何といっても日本はオードリー・ヘプバーンが
おそらく世界でいちばん愛されている国
といっても過言ではないくらい
清純派、妖精型の女優さんの人気が
高くなる傾向にあるように思います
日活では筑波久子さんという
肉体派の女優さんがいて
当時は大変な人気だったそうですが
(宍戸錠さんの著書で知りました)
いまや知る人ぞ知る存在に
なってしまっているでしょう
(私は筑波久子さん好きなんですけどね
ふっくらした可愛らしい女性という感じで)
肉体派ですが新東宝のエロ・グロ路線の
映画に出演されていた女優さんですから
そういった女優さんが好きだなんて
当時は言えなかったと映画評論家の
川本三郎さんは発言されています
(映画秘宝編集部編『異端の映画史
新東宝の世界』を参照)
ではなぜ京マチ子さんだけが
大女優と呼ばれる存在になり
現在もその名を知る人が多いのでしょうか
②肉体だけに留まらない幅広い演技力と存在感
初期の「痴人の愛」や「牝犬」などで
見せたその肉体美でまずは
成功するわけですが
京さんはそれだけに留まらず
眉毛を剃った顔も良く似合い
役柄にピッタリな装いと演技ができて
また「地獄門」のような古風な
楚々とした女性も、「楊貴妃」や
「華麗なる一族」のような豪華絢爛な
スケールの大きな女性にもなれて
ほかの作品ではコメディエンヌにもなれる
幅広い演技力と存在感があったから
魅力が肉体だけではなかったから
肉体派であっても大女優になれたのだと
私は思っています
③海外でも通用した存在感
過去の記事にも書いた通り
また映画通の方は当然のように
ご存知のことと思いますが
京マチ子さんは主演作が海外映画祭で
次々とグランプリを受賞したことで
「グランプリ女優」と呼ばれましたが
このことをきっかけに海外の映画人
ハリウッドスターなどにもその存在を知られ
京さんに「会いたい」というスターが
当時は多くいたそうで、過去の記事に貼った
下の画像のようにエリザベス・テイラーや
モントゴメリー・クリフトに会うなどという
そのようなことが実現したのです
なぜ海外の映画人が京さんに会いたがったのでしょうか
私は主演した作品が優れていたことと
京さん自身の存在や演技に
魅了されたからだろうと思います
上の画像を見ればおわかりかと思いますが
ハリウッドスターの2人に囲まれても
まったく引けを取らない存在感
スケールがありますよね?
背丈もそれほど変わらないように見えますし
そのオーラはもはやハリウッド級だとすら
私には思えてきます
海外の人の興味をそれほどまでに
搔き立てる魅力のある女優さんは
それほど多くはないのではないでしょうか
ちなみに若尾文子さん曰く
現代では大柄な人はいても
当時はいなかったそうです
(雑誌「キネマ旬報」2019年7月下旬号を参照)
まぁ1940~50年代など
庶民は140cm台の女性が
ざらにいた時代でしょうから
それは目立ったでしょうね
④肉体の魅力があるから全身で演技ができる
京さんはその肉体の魅力があるから
全身で身体を張った演技というのができる
そのような強みがあるのです
森雅之さんとの激しい取っ組み合いの
喧嘩のシーンは見ごたえがありましたし
「甘い汗」でも真夏で薄着姿で
佐田啓二さんと激しく争う場面が
あったように思います
またそのような激しいシーンだけでなく
以下のような映画ではその脚線美を
ちょっとしたお色気として
活かすことができるのです
この脚線美はすごいですよね
「七年目の浮気」のスカートを抑えて
露わになるあの脚にも負けていないですね!
⑤性格は地味だったことからすごさがよりわかる
過去の記事で書いたように
私生活や性格は地味で
自ら出不精と言ったり
普段は編み物をしたりして
庶民的で家庭的で(山本富士子さん談)
映画での妖艶な姿とはまるで違う
女性だったようで、このことを知ると
京さんの女優としてのすごさが
よりわかるような気がします
ごく普通の庶民的な女性が
あのような肉体派の妖艶な女性に
ガラッと変身してしまうのですから
女優さんってすごいですね
とりわけ京さんはそのなかでも
すごい方のなかに入るのでしょうけど
黒澤監督も山本富士子さんも
口を揃えて「結婚したらいい奥さんに
なっただろう」と仰っているのですが
生涯独身でしたね
その理由はわかりませんが
ちなみに私生活や性格は地味といのは
下の写真を見ると何となく
そんな女性だったのかな?と
想像できるような気もしてきます
三國連太郎さんとのツーショットなのですが
派手な女性という雰囲気ではありませんよね?
こんな感じが普段の京さんだったのでしょうか
というわけで今年で生誕100年を迎えた
京マチ子さんの記事はこれにて終了です
読んでくださった方ありがとうございました
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